改革の正当化のために国民を守る治水対策の足を引っ張る菅総理

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地球温暖化による豪雨災害の激甚化に対応するために国交省は河川管理者だけでなく、自治体、住民、企業、農業者など流域の地域全体で治水に取り組む「流域治水」の取り組みをスタートさせている。この流域治水では農工業用水の確保や発電などに使われている利水ダムを大雨の際に治水に活用することが大きな柱となっている。

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菅総理の発言にはファクトチェクが必要

ところが、今なんと総理大臣がこの重要な治水の取り組みの足を引っ張っている。菅総理は就任直後の記者会見で、官房長官時代に縦割り行政を打破してそれまでできなかった利水ダムの治水目的での活用を可能にしたことを述べ、内閣として構造改革に積極的に取り組む姿勢を示した。アメリカでは大統領選挙のテレビ討論会でのトランプ、バイデン両候補の発言についてメディアがファクトチェックを行ったそうだ。これは民主制の国のメディアの重要な責務であるが、我が国のメディアはそれをサボっているので、国民が自ら菅総理の発言についてしっかり真偽を確かめ、騙されないようにしなければならない。

利水ダムの治水利用のために必要なのは行政改革よりも積極財政

菅総理は、行政改革さえすれば利水ダムの治水への活用が十分可能になるかのような発言をしているが、これは事実に反する。もちろん縦割り行政の弊害が全くなかったとまでは言いきれないが、利水ダムがこれまで治水に活用できなかった最大の原因はもっと他にある。それは、ほとんどの利水ダムには十分な洪水調整が可能な放流設備が無いこと、雨量が予想より少なかった場合に水不足のリスクがありその場合の水利権者への補償も整ってないことなどだ。
縦割り行政を無くしたとしても、このような問題が解決されないかぎり、十分に水害の被害を軽減することはできない。利水ダムの治水への活用には行政改革よりも、利水ダムに治水用の放流設備を設置したり、貯水容量を増やす改造をして洪水調整をしても農工業、発電用水を確保できるようにし、さらに渇水になった場合の十分な国費補償制度を設けるなどの積極財政が必要なのである。

積極財政に言及しない菅総理には本気で水害から国民を守る気は無い 改革正当化プロパガンダに利用したいだけ

なのに積極財政の必要性には全く触れず、行政改革のみを強調したことを踏まえると、菅総理にとっては水害から国民の生命や財産を守ることより自身の権力を守ることが重要で、そのために、財務官僚や緊縮派の与党議員の機嫌をとるために治水に金を極力使わないようにしながら、改革によって十分な治水が実現できたように見せかけて、実際は大多数の国民を犠牲にして一握りの大企業経営陣や投資家に利益供与をはかる構造改革をあたかも国民にとって良いことであるかのように騙し人気を得ようとしているとしか私には思えない。
だとしたら、その結果水害の被害が十分軽減できず私達国民の生命と財産が脅かされるのだから、そんな菅政権を支持するのは自殺行為である。

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