菅政権の自助・共助・公助 公助を減らすと後々もっと公助が必要になり国民が苦しむ

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菅義偉首相は、目指す社会像として「自助・共助・公助」を掲げている。これについて新総裁選出直後のあいさつで「まずは、自分でできることは自分でやってみる。そして、地域や家族で助け合う。その上で、政府がセーフティーネットで守る。」と語っている。

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透けて見える公助を減らしたいという菅首相の本音

菅氏の本音は、国民に最大限の自助努力を迫ることで政府支出などの公助をできるだけ少なくしたいということではないだろうか。

財政破綻のリスクの無い日本で公助の削減は必要無い

それは、外貨や共通通貨建てでしか国債発行できず、財政破綻リスクのある国や、独自通貨国でもインフレ率が過剰に上がっている国の場合は必要な面もあるかもしれない。しかし、我が国は国債は全て自国通貨建てで財政破綻のリスクはゼロであるうえ、デフレが続いているので歳出削減のために国民に対する公助を減らす必要は全くない。

最初に公助をケチると後々逆にもっと公助が必要になってしまう

しかも、無理に公助を減らし国民に自助を押し付けすぎると、逆に余計に大きな公助が必要となりそれが追いつかなくなれば国民は苦しめられ、最悪死に至る。

コロナ禍で公助をケチった結果発生している「相談崩壊」

今、新型コロナの影響長期化で地方自治体では「相談崩壊」という事態が発生している。仕事を失った人などに家賃を支給する「住宅確保給付金」の申請など生活に困窮する市民の相談が殺到して、対応する職員数は平時と変わらないために深刻な人手不足となり、結果として困窮する市民への支援が遅れさらには自治体職員も心身ともに疲弊してしまうという事態となっているのだ。

真水100兆円の公助をしていれば国民も自治体職員も苦しまずに済んだ

これは、国民への現金一律給付の増額とコロナ終息までの継続、消費税廃止、全ての事業者への100%粗利補償をはじめとする真水100兆円の財政出動等の公助をやらなかったために生活困窮者が増加し公助が追いつかなくなり支援を受ける側とする側が共倒れになっているということではないだろうか。

台風10号 公助の怠慢で奪われた命

災害への備えにおいても最初に公助を疎かにすると後々必ず余計に公助が必要になり、その公助が追いつかなくなり被災者が死の危険にさらされる。九州を襲った先の台風10号では、鹿児島県で停電で発電機を使っていた家で90代の女性が一酸化炭素中毒で死亡し、親族2人も一時意識を失い救急搬送される事故が発生した。

これは、電線地中化などの停電対策や全世帯への一酸化炭素中毒の危険の少ない非常用電源設備の無償配布などの財政出動という公助をしなかったために、救急車の出動などの公助が必要になってしまったということだ。今後も対策への国の支出が不十分なまま大規模で長期におよぶ停電が発生した場合、一酸化炭素中毒や熱中症などで救急要請が殺到して対応が遅れて多くの死者が出るのは必至である。

日本の公助は欧米に比べて少ない

また、台風10号では九州の主要河川の整備水準を大きく上回る雨量になる可能性があるとの警告が事前にされていた。幸い雨量は予想より少なく大きな洪水被害はなかったが、もし最悪レベルの大雨となっていたら甚大な被害となっていたであろう。イギリスのテムズ川は1000年に一度、アメリカのミシシッピ川は500年に一度規模の洪水に対応できるレベルの堤防等の治水対策が行われている一方、我が国は100年から200年に一度レベルの洪水に対応可能な治水水準が指向されているが、実際は30年に一度の洪水が治水計画上の目標とされる場合が多く、その目標さえ60%しか達成できていないという欧米と比べて治水容量対策が非常に低いレベルにとどまっている。
今後の地球温暖化による水害の激甚化に備え、必要なら躊躇なく国債を発行して財源を調達して、主要河川の治水容量を欧米並みの1000年に一度レベルにすることを目標に堤防強化などの大規模かつ長期的な治水投資を進めるべきだが、菅首相の言動からはこうしたことへの積極性は感じられない。おそらく避難などの自助に重きを置くことで政府支出を抑えたいのだろう。このまま将来大水害が頻発するようになったら、多くの住宅が被災し避難所の運営や仮設住宅の確保、生活再建支援等の公助が追いつかなくなり、せっかく避難で助かった被災者が心身ともに疲弊し命の危険にさらされることになる。

自分や大切な人を守るために声を上げよう

公助軽視、自助偏重は国民のためにならないという私のような一般人でも考えれば分かることを一国のリーダーが分からないとはとても思えない。例えば、自治体窓口の人手不足を理由に有期雇用の非正規職員を増やすことで竹中平蔵氏が会長を務めるパソナをはじめとする派遣業界にビジネスチャンスを与えるというように、大多数の国民の犠牲のもとで一握りの人間に利益供与することが菅首相の本当の目的なのではないかと疑わざるを得ない。そんな菅政治から私達の身を守る方法は、主権者たる国民が声を上げ続ける以外にない。

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