経済論者の中には、ベーシックインカム(以下、BI)とか無税国家という文字を見た途端に拒絶反応を起こす者が多くいます。
こうした傾向は、増税緊縮派や構造改革派の連中は無論のこと積極財政派を称する論者にも見受けられますね。
国民が欲するだけのモノやサービスを創り出す能力がなく、撒いたカネが消費されず(=モノやサービスと交換されず)に、ただただ悪性インフレを惹き起こすだけの途上国ならともかく、買い手さえつけば即座にモノやサービスが飛び出してくる我が国において、過度な需要余剰、つまり、需要過多による悪性インフレの発生を心配する必要などありません。
日本経済は、四半世紀もの間世界で唯一の非成長国の汚名を被り、極度の需要不足(供給過多)に悩み抜いてきたのですから、やるべき対策は「比類なき規模の所得UPによる需要不足の解消=供給サイドへのエネルギー補給による供給能力の高度化」です。
そういった政策ベクトルにピタリと一致するのが”BIや無税国家(超積極財政策)”であり、これに尻込みするようでは、日本経済を持続的な成長軌道に乗せるのは永久に不可能でしょう。
『ベーシックインカムは可能か?』(藤巻健史)
http://agora-web.jp/archives/2047648.html
「15日の日経新聞の「大樹小機」はベーシックインカムの問題点等をよくまとめてあったと思う。
”1人当たり毎月8万円を国民全員に配れば総額120兆円の財源(今の税収のおよそ2倍)が必要だが、どう調達するのかということである。”
その通りだと思う。いくら理想だと言っても、国といえども金が無くては何もできない。世界の最貧国ハイチにも理想があり、やりたいことはいろいろあるだろう。しかし金が無いから出来ない。(略)
ベーシックインカムを採用すれば社会保障費を全廃できるだろう。社会保障費は歳出の3割と言うから歳出は70兆円に減り、ベーシックインカム以外の予算は均衡する。(略)
MMT信奉論者のように借金が財源になるのならともかく、まずは財源ありきの議論が必要だ。
そうなると国民全員に一律配布は無理で、一部の人のみへの配布となる。「働くことのモチベ―ション」をどう維持するかが議論の最大のポイントとなるだろう。」
フジマキの妄想は相変わらず酷いですね。彼の脳内にはクモの巣でも張っているのでしょうか?
まず、持説を補強するのに日経のコラムを援用するのが痛々しい限りです。
「国民全員に毎月8万円配ると年間120兆円の予算が必要だって? そんなの日銀の直受、永久国債の発行、政府貨幣の発行で何とでもなるよね? 何の疑問があるの? その程度で平成不況から令和高度成長へ大転換できるなら安いもんでしょ?」で終了です。
彼が海外の高名な学者やエコノミストの論を引っ張り出すのはいつものことですが、仮にも元国会議員たる者、他人に頼らず堂々と持説を述べることすらできないとは…、本当に情けない…。
一部の自称積極財政派の論者にも言えることですが、「有名な●●教授もこういってるぞ!」とか、「ノーベル賞を取った××教授が俺と同じことを言ってるぞ!」とドヤ顔で語るのは、傍目にも恥ずかしい行為です。
中学生じゃないんだから、他人の褌で相撲を取る愚をいい加減に悟ってもらいたいものです。
さて、相変わらずのフジマキですが、彼の「いくら理想だと言っても、国といえども金が無くては何もできない。世界の最貧国ハイチにも理想があり、やりたいことはいろいろあるだろう。しかし金が無いから出来ない」というセリフにも失笑を禁じ得ません。
そもそも、ハイチみたいな万年最貧国には、国家としての概念など端からありませんし、理想とかやりたいことなんてのも存在しません。
ただただその日暮らしで、困れば日本のようなお人好しな先進国にタカればよいと高を括っているだけです。
彼が大いに勘違いしているのは、何時まで経ってもハイチが発展できないのは”カネがない”からだと思い込んでいるです。
これは国家の持続的発展における国全体の供給能力の大切さを解っていないド素人が犯しがちなミステイクですね。
この手のド素人は、
①国家が発展できないのはカネ不足が原因(=だから政府は無駄遣いするな)
②だからといってカネを撒くとたちまちインフレになってしまう
③よって、足りない分は国民から税や社保料を毟り取るしかない
という負のループをグルグル回り続けるだけで、実りの無い議論に終始しるだけ。
②→③に行く前に、国家挙げてのインフレ予防策を講じようとする気がまったくありません。
つまり、ド素人連中は供給能力の必要性や重要性をまったく理解できていないのです。
だからこそ、カネが足りないとなった途端、インフレ耐性を引き上げるべく供給力整備に投資するという発想がなく、「増税だ~、社保料引き上げだ~」と安易に国民に負担を擦り付けようとするのです。
ハイチ国民が何時まで経ってもド貧民なのは、カネ以前にモノやサービスを供給する能力が著しく欠けているからであり、それを育成するには莫大な投資と長い年月が必要ですし、何よりも国民自身の不断の努力や忍耐が不可欠ゆえ、かの国のような甘え根性に満ちた国民には絶対に無理でしょう。
翻って我が国には、衰えたりとはいえ世界最高レベルの供給能力が温存されていますから、フジマキみたいに” いくら理想だと言っても、国といえども金が無くては何もできない”などと弱音を吐くナマケモノなんてガン無視して、幾らでも発行可能な貨幣をどんどん供給し一刻も早く”カネが無くては”という状態を脱するべきです。
高度な供給能力と通貨発行権を有する日本では、カネが無いという類いの幼稚な言い訳は一切通用しません。
また彼は、「ベーシックインカムを採用すれば社会保障費を全廃できるだろう」と惚けたことを抜かしていますが、BIと社会保障はトレード・オフの関係ではありませんから、BIと引き換えに社会保障を全廃する必要など一μもないと言えます。
我が国は既に四半世紀もの長期不況に苦しめられた挙句、消費増税やコロナショックによる経済破壊の渦中にあるのですから、「所得+需要不足型不況」を脱するためにも、重すぎる現行の社会保険料負担を1/2未満に軽減し、消費税も全廃、そのうえで国民全員に毎月3-4万円の生活向上給付金(BI)を支給すべきです。
これで国民の実質所得は総額で100兆円近く増えることになり、長年の所得不足=需要不足の解消に大きなインパクトを与えることになるでしょう。
財源論など不要かつ無用です。
国債増発や貨幣製造で賄えばよいだけのこと。
重要なのは、”カネをどこから調達するか”ではなく、”国民の生活基盤を蝕む経済危機を克服するために何をすべきか”に国家の知恵やリソースを集中投下することです。
消費税率が10%に引き上げられることにより、年収400万円以上~500万円未満世帯の年間負担額は約22万円にもなります。
さらに平成元年の消費税導入以降、国民は不況に苛まれながら消費税という悪税中の悪税を負担し続けてきました。
BIと聞いただけで蕁麻疹が出る頭のおかしいバカには想像もつかぬでしょうが、BIは、過去の経済失政により国民が蒙った負債を、政府から毎月の分割払いで返済(還付)させると考えれば合点がいくはずです。
最後にフジマキの「MMT信奉論者のように借金が財源になるのならともかく、まずは財源ありきの議論が必要だ。そうなると国民全員に一律配布は無理で、一部の人のみへの配布となる。「働くことのモチベ―ション」をどう維持するかが議論の最大のポイントとなるだろう」というセリフにも触れておきます。
フジマキ流の”まずは財源ありきの議論”とやらは、”増税+社保料引き上げ”という不況ブーストコンボでしかなく、「21世紀総不況化」を決定づける愚策中の愚策です。
国債増発や貨幣増産等々、財源など幾らでもあります。
財源論云々を持ち出すのは、安易に増税に頼るだけで、発展性のある議論から逃げようとするナマケモノでしかありません。
彼は、「働くことのモチベ―ション」をどう維持するか?とアホなことを抜かしていますが、実収入が増えて働く意欲を失う変わり者なんて、いったいどこにいるのでしょうかね?
多くの国民は、世界最悪の労働環境下でほとんど増えない所得に強い不満・不安を抱いており、「BI+社保料半減+消費税廃止」の所得UP三点セットが実現された日には、消費力の向上を歓びこそすれ、働く意欲を失くすことはありません。
そもそも、月15万円にも満たぬ安月給(しかも年間休日は100日未満)で黙々と働く哀れな日本人がごまんといる現状を鑑みれば、月8万円程度(私の案は3-4万円)で働くのを止める者なんて例外中の例外でしょう。
もっとも、私なら毎月50万円貰えるなら速攻で退職しますけど…。
労働のモチベーションは、投入した労働量に見合うだけの対価を得て初めて満たされるものです。
フジマキには、中学生の壁新聞レベルの赤点コラムを垂れ流すことの恥ずかしさを十分に噛みしめて貰いたいですね。