現代貨幣理論を理解できない藤巻健史。知性が無いと人生は苦行である

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反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年8月13日(令和2年8月13日)

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現代貨幣理論を理解できない藤巻健史

「自国通貨建てで借金をしている限りインフレが加速しなければいつでも借金を大きくしても大丈夫」という理論(?)で、米国人のステファニー・ケルトン教授教授が提唱し、米民主党大統領候補だったサンダース上院議員や民主党左派の人たちが、経済政策のバックボーンとして据えていたものだ。
(中略)
しかし人気が高まったとしても奇策は奇策であり、異端は異端だ。
フリーランチなど無い。
この理論は「未来(M)は、もっと(M)大変(T)理論」(福本元毎日新聞論説委員)と揶揄やゆされるくらいで、私に言わせれば「トンデモ理論」もいいところだ。
「未来はもっと大変」とは将来、財政破綻かハイパーインフレが起こるということ。

引用元:「日本政府はもっと借金しろ」そんなMMT論者のツケはだれが払うのか

本日はTwitter界隈において、ハイパーインフレ師匠と揶揄される藤巻健史氏(以下敬称略)の現代貨幣理論批判に対して反論してみたいと思います。

まず、藤巻は現代貨幣理論の基礎的な理解を間違えております。
自国通貨を保有し、変動相場制を採用している国家には財政的予算制約は存在しない」というのが、現代貨幣理論の基礎なのです。

自国通貨を自らの意思で発行することができるのか、固定相場制によって金融政策に何らかの制約が存在するのかが重要であり、最も端的に言えば、財政破綻はしないということを説明している理論のことです。

藤巻はステファニー・ケルトン教授やランダル・レイ教授の現代貨幣理論の一般書をお読みになるか、私が出版した『現代貨幣理論の基礎』をお読みになった方がよろしいでしょう。

また、現代貨幣理論がなぜ間違っているのかという理由に関して、上記引用元記事においては記載がございませんでした。

現代貨幣理論は理論的には正しく、悪口を並べ立て留飲を下げるしか方策が無いと素直にお認めになった方がよろしいのではないかと。

借金を返済することと公的債務の累積額が増えることは別次元

MMTは余りに常識に反している。
MMT信者は「家計と国家は違う」と言うのだろうが、国家といえども借金は返さねばならない。
返さなくてよいのならば、無税国家が成立する。
法人税も消費税も所得税も徴収する必要が無い。
歳出は借金で賄えばよい。

引用元:「日本政府はもっと借金しろ」そんなMMT論者のツケはだれが払うのか

日本政府は借金を返済しなくてもよいとはMMT(現代貨幣理論)において説明されてはおりませんし、日本政府は借金を返済しております。

日本政府の歳出の内訳をご確認いただければご理解いただけると思いますが、国債の償還費がしっかりと計上されています。
※参考:財務省HP『国の支出・収入の内訳は?

借金を返済しなくてもいいと主張しているのではなく、自国通貨を保有し、変動相場制を採用している我が国日本においては、過度なインフレにならない限りは公的債務の累積額を気にする必要はないということなのです。

日本政府という通貨発行権を事実上保有している経済主体は、寿命が無い法人です。
寿命という終わりが決まっている人間とは違い、永遠に自転車操業を継続することが可能なのです。

また、現代貨幣理論とは、貨幣論の一種であり、なぜ貨幣は現代社会において流通し、民間経済において受け入れられているのかという説明もしています。

その中で「税が貨幣を駆動する」という租税貨幣論が展開されております。

政府が自国民に納税の義務を課す、納税する手段として貨幣を指定する、貨幣には納税手段のために手に入れたいという動機づけが発生するので、人々が貨幣の価値を認識し、社会で貨幣が受け入れられるということです。

現在の社会において、租税貨幣論だけで民間経済に流通しているということを説明するのは難しいですが、逆に言えば、租税貨幣論抜きに民間経済に流通していることを説明するのは極めて困難と言えます。

以上を踏まえると、現代社会において貨幣価値を担保し、民間経済において貨幣を受け入れてもらうためにも、税金は必要不可欠なものであり、社会において懲罰しなければならない行為などに罰金を科すという意味で有用と考えます。

また、ビルトインスタビライザー(景気の自動調節機能)と呼ばれる、急激な物価の変動や所得の変動などによって受ける社会的な打撃を緩和するような仕組みを重要視します。

重ねて申し上げますが藤巻は現代貨幣理論を全く理解できていないようです。
少なくとも、無税国家論は現代貨幣理論から導けるものではありません。

国債償還費を新規国債の発行で賄うことは悪いことか?

最近の邦銀は保有国債残高を急速に減らしている。(=融資を引き揚げている)国への融資を回収し始めているということだ。
少なくとも、返済見込み0%では国に融資をする気はない。
借金額が過大になってくれば、徴税で借金を返してくれるか、だんだん心配になってくるから当然だ。
たしかに銀行は入札で国債を購入してはいるが、それは、すぐに日銀に転売し、鞘さやを稼ぐためである。

日銀トレードと言う。
そこで、借金総額が膨大になった国が253兆円もの国債を消化するためには、ある意味、国と運命共同体である中央銀行の存在が不可欠になる。満期国債の償還原資と新たな借金を確保し、財政破綻を回避するためだ。

引用元:「日本政府はもっと借金しろ」そんなMMT論者のツケはだれが払うのか

民間金融機関の国債保有残高は減少しています。
日本銀行が買いオペをしているからです。

それの何が問題なのでしょうか。
藤巻は上記引用元記事の中で、国債償還費を徴税で賄うべきと考えているようです。

お金に色は付けられないのだから、国債償還費が徴税によるお金だろうが、新規国債の発行によるお金だろうが、借換債によるお金だろうが、期日までに利払いと償還ができればそれで問題ないと思います。

国債を保有していた法人もしくは個人において、償還時においてそれがどういった手段で調達したお金なのかは無関係なのです。
関係あるのは、利払いと償還が期日までにしっかりと行われるということです。

さらに申し上げれば、民間金融機関が新規国債を購入せず、長期金利(10年物国債利回り)が上昇したら、日本銀行が再度買いオペをすればいいだけの話ではないですか。

何をそんなに危機と受け取っているのでしょうか。
毎晩、財政破綻もしくはハイパーインフレの兆候に怯えているのでしょうか。
知性が無いと人生とは苦行ですので、ご愁傷様です。

買いオペを否定する藤巻は世界各国の中央銀行のお仕事を否定する

すなわちMMT理論では、借金を膨らませている段階で、国債を買い取る中央銀行の存在が、必須条件となっている。
しかし、これは過去ハイパーインフレを起こした結果、世界中で禁止されている「禁じ手中の禁じ手」である財政ファイナンス(政府の赤字を中央銀行が紙幣を刷ることによってファイナンスする)そのものだ。

引用元:「日本政府はもっと借金しろ」そんなMMT論者のツケはだれが払うのか

藤巻は、世界各国の中央銀行が行っている買いオペを「財政ファイナンス」と主張し、全否定しているようです。

禁止されているのは、政府から国債を直接的に引き受けることであり、民間金融機関が保有する国債を中央銀行が購入するのは禁止されておりません。

藤巻はもはや「パラレルワールドの住人」のようです。
中央銀行の関係者に怒られること必至でしょう。

そして議論はハイパーインフレに戻る(笑)

日銀が債務超過になったとき、その発行する通貨の価値が保たれるのだろうか? 債務超過の結果、円が暴落すればハイパーインフレ一直線となる。
やはりMMTが前提としている「財政ファイナンス」は先人の教えの通り「禁じ手中の禁じ手」だったことになる。そしてMMT理論が「トンデモ理論だった」ことも証明される。

引用元:「日本政府はもっと借金しろ」そんなMMT論者のツケはだれが払うのか

藤巻に聞いてみたいことがいろいろあり過ぎます。

ハイパーインフレって何%のインフレなのか、日銀が債務超過になったときってどういった想定なのか、そういったプロセスで為替レートの暴落が発生するのかということです。

あまりにも粗雑過ぎて、ちょっと何を言っているのか理解できません。

以上です。

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