自粛・休業要請と補償や闇営業への認識のねじれと同調圧力

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 お願いは絶対に聞かなければならない。そんな不文律が、いつの間にかできたようです。

 この国では休業要請に従わないと闇営業扱いされ、まるで不法行為を働いているかのような目で見られます。
 「え? 休業要請は従わなきゃいけないでしょ? 当たり前じゃん!」と思った人は、ちょっと日本語が怪しいのではないでしょうか。

 どうしてこんなにさまざまな認識が、ねじれているのか? その原因は何か? 自粛・休業要請と補償や闇営業、同調圧力問題から深掘りして解説します。

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歌舞伎町の飲食店「怒りの閉店」

 ランボー怒りのアフガニスタン……じゃなかった。歌舞伎町の飲食店、怒りの閉店が報道されました。

「お望み通り辞めてやりますよ」歌舞伎町の飲食店オーナーが怒りあらわ – ライブドアニュース

  • 「夜の街が悪い、コロナの巣窟」と責められるが六本木、渋谷、池袋だって夜の街
  • なぜ新宿だけが叩かれるの?
  • ホストクラブを悪者扱いしたと思ったら、次は新宿全体を悪者扱い
  • コロナ対応のため、多額の投資もした
  • しかしもうやってられない。やめてやる! くそったれ! 二度と飲食業なんてするか! ばかやろー!
    ※意訳ですが、行間からこのように読み取れました
  • 記事では「緊急事態宣言下で闇営業を続けた」と書いてある
  • 「闇営業のツケが回ってきた」などの表現も

 上記は記事の概要です。取材に応じた飲食店の店主には、同情しか湧きません。土建業たたき、官僚や公務員たたき、抵抗勢力たたきなど日本は「誰かを叩いていないと気が済まない病」です。
 不運にもコロナ禍で、ナイトレジャーや飲食店、新宿、そして我が大阪ではミナミがターゲットされています。

 不運にも? そう、日本では「不運だったね」で済まされます。最悪ですよね、叩かれている方からすると。

 ところで緊急事態宣言下で営業を続けると、闇営業なんでしょうか? 休業要請とはなんだったのか? そして補償との関係性は?

 正確に読み解いていくと、上記報道の飲食店店主が何に憤っていたのか? どうしてこんな目に遭わなければならなかったのか? 理解できます。

自粛要請や休業要請、緊急事態宣言法とは

 日本語の簡単な問題です。要請とはなんでしょうか? 端的に答えれば「お願い」です。

 自粛要請は「自分で慎んでくださいね、お願いしますね」です。休業要請は「コロナが流行しているので休業をお願いできませんか?」です。
 応じるかどうか、決定権はお願いされる側にあります。

 そもそも緊急事態宣言では、国民に何らの義務も生じません。

緊急事態宣言とは何ですか。どのような法律上の義務が生じますか。|お知らせ・ブログ|千葉県千葉市の弁護士事務所 法律事務所シリウス

 上記によれば「要請をできる法的根拠が、緊急事態宣言でできた」のだそうです。換言すれば「この法律に基づいて、お願いしています」が緊急事態宣言の意味です。

 要請の時点では、従う義務は発生しません。休業”指示”でようやく、従う義務が発生します。ただしこの休業指示も、罰則はありません。指示に従わない場合は、店名を公表するだけです。

罰則のない法律に効果はないのか?(パワハラ) – 弁護士 師子角允彬のブログ

 上記によれば、日本には罰則のない法律がたくさんあります。では罰則がなければ守られないのかというと、間接的サンクションによって守られる場合がある、とされます。
 間接的サンクションとは、有り体に言えば同調圧力や世間の目、信用などです。

 結論を言いましょう。

 日本政府、および都道府県はコロナ禍という危機的事態(と言われている)に際して――一部、休業指示はあったものの――なんら強制力を持たないお願いをしただけ。
 間接的サンクション、すなわち同調圧力に日本政府は頼ったと言えます。

 そして多くの日本人は同調圧力に同調して、従う義務もない要請をまるで命令や指示のように扱い、緊急事態宣言下で営業している飲食店やナイトレジャー関係の店舗を闇営業とみなしました。
 この風潮は「政府や都道府県の要請に従わなかったんだから、潰れても自業自得だよね」「ツケが回ってきたんでしょ」という言説が、おおっぴらに報道されている事実からも明らかです。

補償とは何か

 よく「自粛と補償はセット!」と主張されます。筆者は政府が「指示や命令と補償をセット」で行うことに賛成です。別に自粛と補償のセットにも、反対する理由はありません。

 ただし自粛と補償がセットであることは、必ずしも自明ではないのも事実です。

 企業の場合、労働者に休業命令を出したら休業補償が義務づけられます。補償とは「命令や指示したことへの責任として、命令した主体が損害を補い償うこと」です。

 自粛とは「自分でつつしむこと」です。要請は「お願い」。理屈的には、政府が補償をする必然性はありません。

 従って緊急事態宣言下の休業補償は「これだけお金を渡すから、休んでくれませんか?」というお願いだったと解釈できます。理屈的に、納得できなければ営業し続けてOKでした。

要請下で営業していたら闇営業?この国はダメかもしれん

 冒頭でこのように書きました。

お願いは絶対に聞かなければならない。そんな不文律が、いつの間にかできたようです。

 多くの人が、緊急事態宣言下で飲食店や夜の街が休業するのは、まるで義務であるかのように振る舞いました。

 これまで明らかにしてきたように、休業要請は義務でも何でもありません。例えば休業要請をされても営業していたパチンコ店は、営業の自由という権利を行使していたに過ぎません。

 お願いは、断っても何ら問題ないのは常識です。

 では問題はどこにあったのか? お願いしかできない政府にこそ、問題があります。お願いならば基本的に、責任は取らなくてOKですよね。
 コロナ禍において何らの責任を果たさず、同調圧力を利用して――それしか方法がなかったとも言えるが――、民間に責任を押しつけた日本の政治にこそ、問題があったのではないでしょうか。

 なお筆者は、政府が責任と義務を果たせないのは「国民がそれを望んできたからだ」と解釈しています。20年以上も小さな政府、消極財政(緊縮財政)を国民は支持してきたのですから、小さな政府=責任と義務のない政府になるのもまた必然でした。

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 正当な権利や行いが大衆世論によって闇営業とされる日本は、この先どうなるのか? あまりいい予感がしないのは、筆者だけでしょうか?

まとめ

 コロナ禍で「補償をもっと大きく行うべきだ!」という言説があります。筆者も大賛成です。ただし現状の「要請&補償」では、「お金を上げるから、お願いを聞いてくれへんやろか?」という状態です。

 これって正しい状態ですかね? むしろ「行動のインセンティブがお金」「商取引」のようなイメージで、昔で言えば商人国家。現在で言えば新自由主義的じゃないでしょうか?

 「国家が責任を取る! こうしなさい! その代わり休業補償も、当然の責任として国家が請け負う!」というのが、本来の姿ではないかと思います。

 なおこの議論は、自粛や半自粛という基準の議論ではありません。コロナ禍という非常事態に類する状況で、政府は何ら責任ある行動ができなかったことへの議論です。

 現状は恐ろしいことに「他の非常事態でも、政府は責任ある行動や決断ができない」という可能性を示唆していると考えられます。

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