あとがき(原作担当 遠藤万次郎)
前回に引き続き、これほどのページ数を費やして再び「単記移譲式」を取り扱う予定はなかったのですが、シナリオを書いていく内に結構なボリュームとなってしまいました。とはいえ、実際に導入された際の様子なんかも描写できましたし、結果的にはよかったかなと思っています。現在の「小選挙区か大選挙区か?」といった二者択一の議論から、作中にあるような「移譲の範囲をどの段階まで適用するか?」の議論へと移れるよう、作中でもオリンピック開催地選考や首長選挙などのイベントで、あと何回かは話題に出したいです。
表題でもある中盤の中央省庁再編、大きな情報として出せたのは財務省の組織変更くらいとなりました。温めていたアイデアとしては、官僚の天下りを大っぴらに認める代わりに、そこで受け取れる年収の上限を600万円に制限する(強欲ではない真の公僕を作る)だとか、イギリスの公務員のように一括採用して色々な省庁の仕事を体験させ(新人の頃に同じ釜の飯を食わせる)、民間からの中途採用も行い(多様性の強化)、希望すれば別の省へも転籍できるようにする(横串を通し、蛸壺化や省益意識を希釈)だとか、提案したいことも他にあったのですが、お話として成立させないと漫画ではなくなってしまうため、全体のバランスを考えると今回は難しかったです。
終盤のMMT的な財政観のお話ですが、経済漫画のくせに最近は経済ネタを描けていなかったため、今がチャンスと言わんばかりにねじ込みました(笑)。いや、MMT云々とは無関係に、当たり前のことしか描かれていないので、現実もそれに沿っていただけるよう、新型コロナを言い訳に使って構わないですし、自民党には消費税廃止の議論を今より深めてもらいたいと思っています。
さて、次回の配信日ですが、4週間後となる4月12日(日)を予定しています。それではまた、次回のあとがきでお会いしましょう。
選挙制度に詳しいブロガーから、「アイルランドは中選挙区の単記移譲式」との指摘を受けました。私(原作者)の表現が不正確であったため、13ページ目の最終コマのセリフを少し修正しております。ご了承ください。