「バラマキ給付金論者の唱えるユニバーサル・ベーシックインカムで不思議で仕方ないのは金額が少な過ぎる点でナゼこんなにケチなのか論考します」
- 『バラマキ給付金論者のユニバーサル・ベーシックインカム』
- 『ベーシックインカムとユニバーサル・ベーシックインカムの違いについて』
- 『バラマキ給付金の微妙過ぎる金額設定』
- 『毎月たった1万円配っても、年間15兆円の財政支出』
- 『125兆円の財政出動でも生活保護レベル以下』
- 『どうせバラマクなら一人30万円は配って欲しい』
- 『450兆円の給付金は誰でも無理だと直ぐに分かる』
- 『毎月1万円でも良いから給付金に拘るナゾ』
- 『何度説明しても執拗にカネを無心するバラマキ給付金論者』
- 『バラマキ給付金は一体何の為に行うのか?』
- 『民営化と補助金ビジネスの組合わせがネオリベの狙い』
- 『バラマキ給付金を雇用主への補助金と考えれば合点が行く』
- 『道州制とベーシックインカムは似ている』
- 『悪しき極論によって悪政が推進される』
- 『バラマキ給付金はケチ過ぎるという事実だけも重要』
- 『ベーシックインカムは新自由主義への降伏である』
『バラマキ給付金論者のユニバーサル・ベーシックインカム』
今の日本は20年も続くデフレによって貧しくなり、多くの庶民の皆さんが貧困に喘いでいます。例えば、ある程度の収入の方も含めて、月1万円お小遣いが増えるだけでも嬉しいでしょう。そんな皆さんの心に闇に囁く悪魔が、バラマキ給付金論者のユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)です。
『ベーシックインカムとユニバーサル・ベーシックインカムの違いについて』
ベーシックインカムとは、元々既存の福祉制度を全廃し、その代わりに同じ金額のカネを配るという政策です。しかし最近、流行っているユニバーサル・ベーシックインカム(以下UBI=バラマキ給付金)とは、既存の福祉制度や税制は、そのままに全国民に月7万円とか?年間100万円とか?の給付金をバラまく政策提言です。
『バラマキ給付金の微妙過ぎる金額設定』
しかし素朴な疑問として、月7万円とか年間100万円という金額が何とも微妙です。この金額は最低賃金や生活保護の金額より低いからです。生活保護でも月12万円程度は受け取れる様ですし、年100万円では最低賃金を下回り暮らせません。なんでUBIを主張するバラマキ給付金論者は、7万円とかケチな事を言うのでしょうか?
『毎月たった1万円配っても、年間15兆円の財政支出』
実際バラマキ給付金の最大の問題点は配る額に対し予算が巨額になる点です。例えば毎月たった1万円の給付金の場合でも、全国民に毎月バラ撒けば、年間15兆円もの金額になります。15兆円とは、防衛費(約5.2兆円)や教育費(約5.6兆円)の約3倍に相当し、公共事業費(約7兆円)の2倍を超えます。
『125兆円の財政出動でも生活保護レベル以下』
更に一人あたり毎月約8万円で、年間100万円の、しょぼいバラマキ給付金でも、年間125兆円という、政府の年間予算の78兆円を遥かに超える巨額の財政出動になります。しかし月8万円では生活保護以下の暮らししか出来ません。だったら、その125兆円で、消費税廃止などの減税や様々な財政出動を行い、我々の給料を今の倍に増やす方が、余程よいと思いませんか?
『どうせバラマクなら一人30万円は配って欲しい』
私が疑問なのは、バラマキ給付金論者が、ナゼ月30万円配れ!とか主張しないか?という疑問です。最低賃金や生活保護を下回る中途半端なカネを配る狙いは一体何なのでしょうか?都内で一人暮らしをしようと思ったら、15万円から20万円は必要でしょう?どうせ配るなら、最低限それくらいの金額は主張すべきではないでしょうか?
『450兆円の給付金は誰でも無理だと直ぐに分かる』
国民一人あたり月30万円の給付金の場合、年間360万円で、これでも遊んで暮らせる金額では無いですが、これを1億2500万人にバラまくと、総額450兆円というトンでも無い金額になり、日本のGDP550兆円に近い数字になります。月20万円なら300兆円、月15万円でも225兆円となり、常識で考えても、限度を超えるインフレが起きるので、それは有り得ないと分かるので、バラマキ給付金論者も口を紡ぐのでしょう。
『毎月1万円でも良いから給付金に拘るナゾ』
どうせ極論を唱えるなら、生活出来る金額を主張すべきと思うのですが、バラマキ給付金論者は、月1万円でも良いから、給付金を配れ!と固執します。連中の主張は、月1万円から開始して、徐々に増やせば可能との子供騙しのロジックなのですが、インフレ率を考慮して、バラマキ給付金を増やすと、他の必要な財政政策を増やせなくなる問題が起きます。つまり、バラマキ給付金には、結果論として積極財政を妨害する効用があるのです。
『何度説明しても執拗にカネを無心するバラマキ給付金論者』
国民の貧困の問題に対し、焼け石に水にしかならない、バラマキ給付金に異様に拘る原因ですが、『合成の誤謬』の逆バージョンなのかも知れません。つまり月1万円から数万円のおカネなら、個人でも何とか工面出来る金額ですから、政府なら、その程度のカネをケチケチするな!となるのかも知れません。でも、それが「チリも積もれば山となる」のは、何度も説明した次第ですが、何度説明しても直ぐに忘れる『トリ頭のうすらバカ』に、つける薬は無いのです。
『バラマキ給付金は一体何の為に行うのか?』
しかし、このバラマキ給付金を、別の側面から見ると、違った姿が見えて来ます。ベーシックインカムとは基礎所得保障ですが、企業や雇用主からすると、給与や報酬に対する補助金という見方も出来ると思います。そう考えると、生活保護や最低賃金より安い金額にバラマキ給付金が設定されているか、納得出来ます。つまりベーシックインカムとは、根源的に国家による賃金に対する補助金なのです。
『民営化と補助金ビジネスの組合わせがネオリベの狙い』
最近に政府による財政政策を見ると、幼児教育無償化や、キャッシュレスのポイント還元、水道民営化など、全て民間に対する補助金という点で共通しています。森友学園や加計学園など安倍政権のスキャンダルも、補助金ビジネスに絡むものです。普通に公共事業への財政出動を行えば良いだけの話しが、民間部門への補助金という形式によって、問題が発生しているのです。
『バラマキ給付金を雇用主への補助金と考えれば合点が行く』
民間の雇用主が賃金を払う場合、出来る限り安く押さえたいでしょうが、仮に基礎所得保障として政府が、補助金を出して貰えれば、雇用主にとって、こんなに有り難い話しは無いでしょう。しかも、最低賃金や生活保護より低い金額であれば、人々は働く必要に迫られるので、長期的に見れば、賃金の抑制効果をバラマキ給付金は発揮するのです。ベーシックインカムとは、雇用主にとっての政府の補助金なのです。
『道州制とベーシックインカムは似ている』
ただバラマキ給付金に対しては、そんなものは直ぐには実現しないから、批判しても意味が無いとの意見がありますが、極論だからこそ徹底批判しなければならないのです。かつて昭和の終わりに大前研一が提唱した道州制が、極論の典型例ですが、未だに道州制こそ実現していませんが、小泉内閣によって行われた大失政である平成の大合併や、現在進行中の大阪都構想によって大阪市が解体の危機に瀕している事実が、その弊害を示します。
『悪しき極論によって悪政が推進される』
つまり、平成維新という道州制という極論は実現しないまでも、平成の大合併で地方は疲弊し、大阪維新の会の手によって、大阪市が解体されるなど、極論が存在する事によって、様々な悪政が推進される結果を招くのです。ベーシックインカム自体は、導入される可能性は、ほぼゼロだと思いますが、例えば、消費税増税による不況対策として、国民全員に10万円を配るとかの政策は、政権延命のみが至上命題の安倍総理なら普通に実行するのでは無いでしょうか?その給付金は正に一時しのぎであり、消費税増税によるデフレの問題は、放置されるのです。
「日本のGDPが延びないのは政府債務の延びが他国に比べて低いから」
『バラマキ給付金はケチ過ぎるという事実だけも重要』
私の座右の銘は「ボールを遠くに投げろ」ですが、バラマキ給付金論者は、ナゼ月30万円配れと主張しないのだろう?という素朴な疑問から、最低賃金にも生活保護にも満たないバラマキ給付金は、ワーキングプアの問題解決には無関係で、結局、ベーシックインカムとは、雇用主にとっての補助金に過ぎないという裏の顔を暴き出す事が出来たと考えています。
『ベーシックインカムは新自由主義への降伏である』
バラマキ給付金には、バルブの発生、格差の拡大、賃金の下落とインフレが同時発生するスクリューフレーションなど、様々な問題が山積します。元々の思想が、新自由主義の祖、ミルトン・フリードマンが提唱した政策ですので、根本的な思想は、徹底的に国家や共同体を破壊するネオリベ思想そのものです。MMTの提唱者であるビル・ミッチルの指摘通りで、ベーシックインカムは新自由主義への降伏なのです。