柴山桂太がMMTを完全論破!税は政府の財源だ

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8月30日にMMTの教科書の翻訳本が出ましたが、その露払い?として表現者クライテリオン9月号のMMT特集が発売となりましたので、その中の柴山桂太さんの論考を解説致します。

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柴山桂太が暴いたMMTの真実

 表現者クライテリオンMMT特集の柴山桂太さんのコラムが秀逸でした。MMTの主張である税と政府支出に直接的な関係が無い事は分かったが、それでは、税金を血税と呼んで、頑張って納めている国民感情に反するのでは無いか?とのご意見でした。これは、なかなか核心を突くMMT批判とも呼んで良いでしょう。

表現者クライテリオン 2019年 09 月号

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ディズニーランドは、スペンディングファースト

 しかし収入に関係なく支出する組織は政府だけではありません。例えばディズニーランドに遊びに行った場合、入り口で支払う入場料とは無関係にダンサーや従業員に報酬が支払われています。ミッキーマウスの着ぐるみで踊っている人に、ごめん今日は入場者が少なかったからギャラ半分ね?なんて事は有り得ません。

偽装MMTと、MMT原理主義と、日本版MMTとの闘いが始まる

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コンビニの売上金は、従業員の給与ではない!

 そもそもスペンディングファーストは、ある程度の規模を超えた組織ならどこでも行っている話です。例えば、我々が、コンビニで買い物をした場合も、レジの中に入ったお金が、その場で、従業員に直接的に支払われる事はありません。仮に店員がレジからお金を抜いて、バイト代として貰ったら、これは犯罪です。

商いは物々交換ではなく信用取引が基本

 そもそも商いは物々交換ではなく信用取引が基本です。貨幣とは、移動可能な貸し借りの記録であり、その本質は負債です。信用取引なのですから、支出は入金とは直接関係なく行われるのが社会の基本です。政府がディズニーランドと異なる点は、通貨が発行できるか否かの差です。重要なのは通貨発行権の有無です。

税金は遊園地の入場券と同じ

 最初にディズニーランドの例え話をしたのも、税金とは、遊園地の入場料みたいなモノだからです。ディズニーランドに入るには、日本人だろうが外国人だろうが入園料を払うのと同じく、日本国のインフラなり行政サービスの利用料として税金が存在する方が、しっくり来ます。重要なのは政府は赤字でも良い点です。

MMTは無制限の財政出動を唱えていない!

 MMTは政府支出と税収が無関係に行われているという事実を指摘しているだけなのですが、同時に重要なのはMMTは無制限の財政出動が可能だとはしていない点です。ところがこの事実に驚愕した輩は、あるものはハイパーインフレを吹聴し、あるものは無税国家や給付金やベーシックインカムを主張する勘違いです。

税は政府支出の財源と見てMMT的に問題なし

 税金と支出が直接リンクしてないと言ってもケルトン教授のシンクの図を見れば分かりますが、政府支出という蛇口からマネーを実体経済に注いで、税金などの排水口からマネーを逃すのですから、税金でマネーを除去して政府支出の余地を確保するという事は、それこそ税金が政府支出の財源と言っても問題ない話です。


財政破綻論者も給付金論者も同じ穴の狢

 要するにMMTは、適切な支出と徴税を行い国民経済を健全に運営する事を提唱しているのですから、各種予算に匹敵する給付金や、無税国家などの、極端な財政出動を推奨している訳では無いですし、同時に適切な財政赤字=貨幣供給であれば、高インフレになったり、通貨価値が下落する事も無いと言っているのです。

貨幣が負債だと分かればMMTが分かる

 MMTの思想的な肝は、貨幣とは負債(信用貨幣論)、通貨とは国家の創造物(租税貨幣論)の二点に集約され、それを統合した経済学派がMMTです。MMTの海外の学者はリベラル系が多いので国家権力を強調しませんが、税金とは国家が、国民に課した負債で、それを政府債務である貨幣で返済させ消滅させています。

松尾匡の気持ち悪さも分かる

 税とは政府が国民に貸した負債であり、それを自分で発行した通貨で返済させると聞くと、MMTにすり寄っている松尾匡と同じく私も、気持ち悪いと思います。ただ、単純に政府が、インフラや公共サービスの利用料として、所得に応じて税を課していると、当たり前の話に置き換えても、何の問題もないでしょう。

貨幣が負債だと分かるとマクロ経済が分かる

 私は、繰り返し「貨幣とは負債」と強調していますが、貨幣が負債だと分かると、ほぼ全てのマクロ経済の動きが理解できるから強調しているだけです。三橋貴明さんやケルトン教授は、貨幣=負債を強調しませんが、本質的に貨幣が負債だと理解していない人は、MMTを語っても、どこかで、間違ってしまうのです。

消費税増税こそリーマンショック級の危機

 先日行われたG7で笑ったのは、各国は世界経済の下振れリスクに十分対応する事との共同宣言が出されたのに、日本は10月から消費税を25%も増税して、10%に消費税を増税するからです。正に消費税増税がリーマンショック級の被害を世界に撒き散らすのですから、リフレ派の安倍総理は何も分かっていません。

重要なのは、政府財政は赤字が正常だという点

 国民経済を支えるのは国民の労働であり、その国民経済に政府支出を行うための余地を残す為に、税としてマネーが回収されるのですが、支出と徴税は、イコールになる必要は全く無いというのがMMTの主張です。その点、PB黒字化目標など掲げている安倍自民党が、政治を司る限り日本はダメになり続けるでしょうね。

消費税廃止と政府支出拡大の国民政党が必要

 安倍総理は米中貿易摩擦で、困っている米国の農家を助ける為に、大量の穀物を日本が買うそうですが、もう来る所まで来た感じです。日本人には消費税を25%も増税して苦しんでも知らん顔なのにです。内政もダメ、外交もダメの経済オンチの自民党に代わる消費税廃止と財政出動拡大を唱える国民政党が必要です。

令和新時代MMT教本

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イネス
3 years ago

否、支出→租税+国債がステファニーケルトンのモデルなので(財政赤字の神話P44 参考)税を財源とみなすのは新表券主義から見てハッキリ言えば問題しかございません
国民感情に反する?先ず国民は事実を知るべきでしょう
国民感情がどうであろうと事実を伝えなければならないのでは?
現に高額納税者は「我々の税金を無駄遣いするな」と福祉を受けている社会的弱者に対してマウントを取っているでしょう?そのような不毛な対立の原因も租税=財源論に基づくものでは?
消費税廃止と財政出動拡大を唱える国民政党が必要ならばそれに対して租税=財源論が障害となってしまうのでは?
その上、社会的弱者や公務員や自衛隊へのルサンチマンに繋がりますし
メンタリストDAIGOの一件にしろ

Reply to  イネス
3 years ago

租税=財源論が国民の分断を煽ってきたんじゃないかなぁと

当ブログは2019年5月に移転しました。旧進撃の庶民
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