いまだに「安倍政権のほうがマシだから、支持している」という言説は跡を絶ちません。内閣支持率も4~5割で推移してます。
内閣支持率横ばい56% 老後資金「自助努力で」62%:日本経済新聞によれば、支持層の支持理由トップスリーは以下になります。
- 安定感がある 48%
- 国際感覚がある 36%
- 指導力がある 22%
※上記は複数回答可能な設問です。
なぜ長期政権化するのか? 安倍政権がマシだと思い込めるのか?
結論からいえば、政府によるダブルバインド(矛盾した2つのメッセージと行為)、国民のダブルシンク・二重思考(矛盾を矛盾と考えられなくなる)があるのです。
解説していきます。
安倍政権との比較対象はなにか?
安倍政権のほうがマシ、という人たちの比較対象は何でしょう? おそらく旧民主党政権、ないし石破茂との比較でしょう。
民主党政権はリーマン・ショックの翌年に発足しました。なるほど、外的要因であるリーマン・ショックとはいえ、イメージがダウンするのは理解できます。
しかし実質賃金で比べれば、安倍政権のほうが国民を貧困化させています。
民主党政権時代は、実質賃金下落が抑えられました。安倍政権になってからまたも、実質賃金が下落してきたのです。
経済状況としては、デフレ脱却は未だ達成できてません。インフレと景気停滞なら実質賃金が下落するのは肯定できますが、インフレですらないのです。
これは「景気が悪い」か「デフレ」。もしくは両方としか解釈不可能です。
※デフレで景気が良くなることは、基本的にはありません。
景気や雇用は「重視してほしい政策」で、毎回1位か2位です。
経済のデータでは「民主党政権のほうがマシ」だったのです。
安倍政権の実績は? 外交ほぼ全敗・TPP・水道事業民営化・国民貧困化
安倍政権に評価される実績はあるでしょうか?
外交ではほぼ全敗です。下野していたときは「TPP断固反対」を掲げていた自民党ですが、与党に返り咲いてからすぐに、TPP交渉参加をしました。
結果はアメリカからはしごを外され、TPP以上に厳しい貿易協定となる日米貿易協定を交渉させられています。
北方領土についても藪蛇でした。本来は「平行線で、自国の領土だと主張し続ける」方針が正しかったのです。しかし安倍政権は「解決する!」として、ロシアに押し込まれています。
水道事業民営化や種子法改正などの規制緩和も、緊縮財政・均衡財政からくるものです。端的にいえば国民を貧困化します。
私には、安倍政権の評価するべき実績がないように思えます。
実際に世論調査でも「政策が良いから支持している」は9%なのです。
安倍政権は、政策が評価されて長期政権化しているのではない事がわかります。
安倍政権がマシという言説とグローバリズムによる責任放棄と自己責任
安倍政権の政策は評価できない、というのが世論調査や国民側からの一般的な解釈でしょう。
- 安定感がある 48%
- 国際感覚がある 36%
- 指導力がある 22%
1位の安定感は、長期政権化したからと解釈できます。なぜ長期政権化できたか?
問題が起きれば「官僚の責任」にすり替え、公文書を削除・改ざんし、責任逃れに終始したからにほかなりません。
本来ならモリカケ問題や、公文書改ざんで内閣は吹っ飛ぶはずでした。通常なら、ですが。
2位の国際感覚とは、グローバルな感覚とも表現できます。
そしてグローバリズムとは小さな政府を指向します。小さな政府とは、責任の少ない政府ともいえます。もっといえば、無責任です。
安倍総理は口では「責任は私がとる」「責任は私にあります」といいますが、問題が起これば無責任。責任転嫁に終止します。
まさに「グローバルな国際感覚と小さな政府」の体現者といえるでしょう。
安倍政権がマシだと思いこむ原因の1つは、日本人がいまだにグローバリズムが良いものだ、と思っているせいではないでしょうか?
小泉政権も長期政権でしたが、グローバリズムまっしぐらでした。
グローバリズムは政府の責任の放棄と、自己責任の拡大です。「悪いことが起きても、それは自己責任」で逃げられるわけです。
したがってグローバリズムへの肯定は、「実質賃金が落ちても自己責任」という思考を発生させ、長期政権を生み出すわけです。
アメリカのレーガン、イギリスのサッチャーもグローバリズムによって、長期政権化したという事実も申し添えておきます。
ダブルバインドとダブルシンク(二重思考)による思い込みと世界観
ダブルバインドという、心理学用語があります。「少子化が大変だ! 対策しなきゃ!」といいつつ、「消費税増税で消費罰金を科す=可処分所得減」ような、矛盾した2つのメッセージにさらされる状態をいいます。
「デフレ脱却!」といいながら、緊縮財政を続けるのも同様です。
「景気は拡大している!」のに「景気が実感できない」のも同様でしょう。
ダブルバインドの状態に置かれると、人間はダブルシンク(二重思考)になります。
2つの矛盾した事柄を「矛盾」と感じられなくなるのです。
例をあげます。
「デフレ脱却は大事だ! 政府の借金も返済しなきゃ!」
デフレ脱却と緊縮財政は矛盾します。緊縮財政はデフレ圧力ですし、デフレ脱却には積極財政が必要だからです。
しかしダブルシンク・二重思考状態にあると、この矛盾に気がつけません。ダブルシンクの状態では「デフレ脱却と緊縮財政は、成り立つ」のです。
ダブルバインドは「矛盾を矛盾と感じられない認識枠組み・世界観=ダブルシンク・二重思考」を蔓延させます。少子化を憂う一方で、消費税はしょうがないと受け入れるのも同様です。
安倍政権の政策に評価はできないのに、安倍政権を支持することも同様です。そしてこの理由付けに「安倍政権のほうがマシだから」という、言い訳がされます。
悪いこと、不都合なことがおきると「他の政権だったとしても、起きていた”はず”」といい、都合の良い数字(失業率の低下など)は「安倍政権のおかげ」とするわけです。
これも矛盾です。都合の悪いことが他政権でも起きた”はず”であれば、都合の良いことも他政権で起きた”はず”です。
ダブルシンク・二重思考としかいいようがありません。
安倍政権長期化の背景には、政府のダブルバインドと、日本国民のダブルシンク・二重思考化があるのではないか?
そして安倍政権の支持率を見る限り、相当に”ヤバイ”状態に日本国民は陥っているのではないか? と感じます。
>安倍政権長期化の背景には、政府のダブルバインドと、日本国民のダブルシンク・二重思考化があるのではないか?
そして安倍政権の支持率を見る限り、相当に”ヤバイ”状態に日本国民は陥っているのではないか? と感じます。
7年間に及ぶ安倍政権の”罪状”を挙げると切りがありませんが、単に緊縮財政(消費増税と歳出削減)による永続デフレや、移民大量受け入れによる日本社会の分断にとどまらず、政権与党、経済界、官界、マスメディアらがこぞってこの長期腐敗政権と完全に癒着し、いまや大政翼賛会的な全体主義体制の様相を呈してきた感があります。
それから、有権者の相当”ヤバイ”状態を示すのが、昨日のNHK世論調査の結果。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190701/k10011977981000.html
いくらNHKが安倍官邸の御用メディアと化し、バイアスがかかっている可能性が高いとはいえ、これでは選挙戦での与党惨敗もあまり期待できません。
また、朝日新聞の記事(ただし有料記事なので一部分)
https://www.asahi.com/articles/ASM6Z44Z8M6ZUTIL006.html
によると、20代から30代の男性で際立って安倍内閣の支持率が高いという状況。
おそらく若者をはじめとする有権者としては、「安倍政権はここまで長く続いているのだから、やはりそれなりの評価に値する。野党への政権交代はリスクだ」ぐらいの意識でいるのではないでしょうか?彼らはネット情報を検索するにしても、自分にとって都合の良い情報だけを取り出して見るだけなので、いわゆる思考停止ないし二重思考化に陥り、自分たちが”安倍極悪政権”によって”ゆでガエル状態”になっていることすら気づかない。
あまり自国民のことを味噌クソには言いたくありませんが、この7年間の状況を見ていると、「政権の長期化が国民の愚民化を促し、その愚民化が政権のさらなる長期化と腐敗堕落をもたらしてきた」という負の連鎖に陥っていることは間違いないと言えます。果たして、この負の連鎖を断ち切れるのか?
これ、私も参考にして記事書きましたですよ~。今回も与党勝利っぽい感じですね。