MMT(現代貨幣理論)とは?世界一わかりやすく解説【MMT初心者向け】

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 本稿はMMT初心者に向けて、MMTとはなにか? を出来る限り専門用語を使わず、解説します。

 MMTとは? と思ってたどり着かれた読者に、「何をどういうふうに調べれば、詳細がわかるのか?」を示すのが目的です。
 よくMMTで使用される用語の解説もします。

MMT(現代貨幣理論)とは?

 MMTはModern Monetary Theory(モダン・マネタリー・セオリー)の略であり、日本では現代貨幣理論ないし現代貨幣論、マスメディアなどでは現代金融理論などと呼ばれます。
 また新表券主義と呼ばれることもあります。

 現代貨幣理論は1990年代には成立していたといわれます。
 史上最年少で当選したオカシオコステル議員が、アメリカでMMTを支持したのが、MMTが広がるきっかけでした。

 MMTer(MMTを支持する人)であるステファニー・ケルトン教授が来日し、マスメディアが騒然としたのは2019年の春頃です。
 またL・ランダル・レイやウォーレン・モズラー、ビル・ミッチェルなどもMMTerとして有名な有識者です。

MMT(現代貨幣理論)の理論構成

 ここでは各理論の詳細ではなく、どのようにMMTの理論が構成されているか? を見ていきましょう。

  1. 信用貨幣論=貨幣負債論
  2. 内生的貨幣供給論
  3. 租税貨幣論
  4. スペンディングファースト(Spending first (政府)支出が先)
  5. OMF(Overt Monetary Financing 明示的財政ファイナンス)
  6. 信用ヒエラルキー
  7. JGP(Job Guarantee Program 就労(雇用)保証プログラム)

 特に1.~3.は重要で、MMTの基礎理論を構成しています。4.~6.は基礎理論からの発展形ないし、現実社会で実際に起きていることであり、説明にしか過ぎません。
 7.は少々特殊で、MMTからの政策提案といわれる部分です。

 それぞれの基礎理論の大雑把な内容を知っていただき、MMTの取っ掛かりにしていただきたいと思います。

信用貨幣論=貨幣負債論

 MMTでは貨幣=負債と定義します。借金をするのは「なにかに使うから」ですよね? 借金をして何もせずに、返済するような奇特な人はあまりいないはずです。

 つまり負債が発生する=需要が発生すると同義語となります。

 そして世の中のお金の大半は、預金という形で存在しています。

万年筆マネー

 私が銀行から100万円借りるとします。そうすると銀行は、預金から私に貸出を行うのでしょうか? 違います。
 銀行は私の口座に「100万円」と記入するだけなのです。これを万年筆マネー(ジェームス・トービン)といいます。
 したがって銀行の融資は、預金額に左右されないことになります。
※融資相手の返済能力に左右されます。

政府の返済能力は無限だが、制約がないわけではない

 では政府の場合はどうか? 政府と日銀が一体とみなすことを、統合政府論といいます。統合政府には通貨発行権があるので、返済能力は自国通貨である限り”無限”です。

 ただし、過剰なインフレは通貨そのものの価値を毀損します。したがって、政府が支出できる範囲は「過剰なインフレにならない範囲で」という制約が付きます。

信用創造の実際の図

 信用貨幣論は信用創造があると定義します。上記の動きが信用創造です。わかりやすく、図でいかに示します。

 これが市中銀行における、信用創造です。お金は銀行(中央銀行も含む)から創出されるのです。どうして創出されるか? 需要がある場合に信用創造が起こるのです。

 信用創造については信用創造とは?わかりやすく図解で解説 イングランド銀行公式見解も参照で詳しく解説しています。

内生的貨幣供給論

 内生的貨幣供給論とは、信用創造が起こるという前提の理論です。先程も書いたように、「需要に応じて、銀行が信用創造を行う(貨幣を供給する)」というのが、内生的貨幣供給論の概説になります。
 オンデマンドサイド(需要側)理論ともいわれます。

 貨幣=負債であるなら、資金需要がないと貨幣は想像されない、とも表現できます。

 外生的貨幣供給論という、対極に位置する理論は逆です。
 日銀が貨幣を刷れば、誰かが借りてくれる”はず”という理論です。サプライサイド(供給側)理論です。
 リフレ派や主流派経済学は、外生的貨幣供給論の立場です。

 現実にはいくらお金を貸したくても、借りてくれる人(需要)がなければ、貸し出せませんから、内生的貨幣供給論が正しいのです。

租税貨幣論

 クナップの貨幣国定説をもとにした理論で、通貨とはどうして通貨なのか? を説明する理論です。

 通貨(法定流通貨幣)は、法律で定められても使われないかもしれません。政府が不安定な国では、米ドルなどが出回っているそうです。
 自国通貨が、通貨として広く受け入れられるのはなぜか? 通貨でしか、税の支払いを認めないからというのが、租税貨幣論の概要です。

 L・ランダル・レイは租税貨幣論――つまり税が通貨を駆動すると表現しますが――を、必要条件ではなく、十分条件であると述べています。

 租税貨幣論について、詳しくは租税貨幣論とは?現代貨幣理論-MMTの簡単解説-通貨はどうして通貨なのかをご覧ください。

スペンディングファースト(Spending first (政府)支出が先)

 ここからは、あまり難しい理論などは出てきません。
 スペンディングファーストとは「税金を取るより先に、政府は支出をしている」という、考えてみれば当たり前の話です。

 例えば2018年度の税金は、いつ確定するでしょうか? 確定申告のある2019年の3月半ばです。にもかかわらず、2018年度の予算は執行されました。
 つまり2018年度で考えると、税金を取るより早く、予算を執行していたのです。

OMF(Overt Monetary Financing 明示的財政ファイナンス)

 ファイナンスとは資金調達と考えてください。
 OMFとは国債発行や徴税をしないで、政府が支出する方法です。

 つまり先程のスペンディングファーストが、どのように実行されているのか? という説明です。
 具体的には財務省証券を政府が発行し、日銀が政府の口座に1兆円なら1兆円と”書き込み”、政府はそれを原資として政府手形を発行して予算を執行する、というプロセスのことです。

 ちなみに国債という形はとっていませんが、政府の負債を日銀が直接引き受けるわけです。「日銀直接引き受けは危ない!」と言っている有識者は、現実が見えていないことになります。
参照:財務省から「財政主権」を取り戻せ! | 三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

信用ヒエラルキー

 信用ヒエラルキーという議論も、非常に常識的なものです。
 銀行(市中銀行、中央銀行)は法律で守られ、特殊な立場にあります。したがって信用創造のヒエラルキーとしては統合政府(政府+中央銀行)>市中銀行>>越えられない壁>>企業>個人、となります。

 様々な議論があるのですが、簡単にいえば貨幣=負債を発行できる範囲、と表現できるかもしれません。
 私が発行した貨幣(例えばクーポン)なんて、誰もいらないでしょ? 信用が大きいからこそ、発行する貨幣=負債が、市場取引に使われるわけです。

JGP(Job Guarantee Program 就労(雇用)保証プログラム)

 JGPとはMMTが珍しく、政策提案をした例です。
 非常に簡単に説明すると、政府が希望する失業者をすべて、最低賃金で雇用するという政策です。

 MMTの説明によれば、好景気のときには企業への就職が進み、政府支出は減少します。不景気のときにはJGPが拡大し、政府支出も拡大します。
 つまり景気によって、政府支出が自動調整される(ビルトイン・スタビライザー)機能がある政策、ということになります。
 詳しくは雇用保障プログラム-Job Guarantee Program(JGP)-とは?ベーシックインカムと比較してみるをご参照ください。

MMT(現代貨幣理論)のまとめ

 MMTとはこれまで見てきたように、「現実で実際には、どのような動きがあるのか?」を貨幣理論として理論化し、体系化したものです。

 気をつけたいのは貨幣=負債ですから、MMTで「貨幣供給量を増やす」と書いた場合、それは(政府が)需要創出することと、同義になります。

 本稿は基本的なことを、大雑把に説明してきました。MMTの理論は信用貨幣論、内生的貨幣供給論(信用創造)、租税貨幣論の3つが基礎理論です。

 今までの経済学(主流派経済学)と何が異なるのか? 主流派経済学は商品貨幣論、外生的貨幣供給論です。
※主流派経済学には、租税貨幣論に対置するような論が存在していません。

 大雑把に言えば、主流派経済学は経済学であるにもかかわらず、貨幣が何なのか? を知らないのです。MMT批判 経済評論家の藤巻健史参院議員はお金を知らないで論じていますので、興味のある方はどうぞ。

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