『MMT派と野党が主張する「インフレ下での消費税減税」の不都合な真実』(週刊現代)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f6ac752b380b900dacd261443beb8fdf22f32f55
「(略) 主に現役世代が負担する所得税や、企業が負担する法人税とは違って、消費税は年金世帯も負担しなければならない。そのため、「消費税減税」という政策は根強い人気がある。
さらに、企業にとっても「消費税減税」のメリットは大きい。「国税庁統計法人税表」(’19年度)によると、全国の法人のうち赤字法人の割合は約65%で、多くの企業が法人税を負担していない。しかしながら、消費税は売り上げが1000万円を超える企業であれば、必ず負担しなければいけないのだ。(略)
そして現在の情勢も「消費税減税」支持を後押しする。賃金が伸び悩む一方で、資源の高騰や円安によって、食料品やエネルギーを中心とする物価が上昇を続けているからだ。暮らしぶりが苦しくなった家庭も増え、先行き不安な企業も多い中、「消費税減税」を求める声はますます高まっている。
MMT(現代貨幣理論)派という異端の経済学者たちも、消費税減税を支持しはじめた。
インフレの要因は複合的で単純化することは不可能だが、「貨幣量の増減」も影響を及ぼしている。だからMMT論者たちは、デフレの時は減税で市中の貨幣量を増やし、インフレの時は増税によって貨幣量を減らすことで、物価をコントロールすべきだと考えてきた。
ところが今回のインフレがはじまると、彼らは以前の主張と真逆のことを言い出すようになったのだ。はたして、野党や一部の経済学者が言うように、消費税を減税すべきなのか。
筆者は貨幣量ではなく、経済格差という観点から「消費税減税」は難しいと考える。消費額の大きい富裕層のほうが、減税した時に得が大きくなる。そのため皮肉にも、消費税減税は、格差拡大に繋がりかねないのだ。(略)」
上記記事を書いたのがどなたなのか?元記事を当たっても明記されておらず不明ですが、相当に頭が悪いというか、幼稚極まりない内容ですね。
①MMT派の連中は、「デフレの時は減税で市中の貨幣量を増やし、インフレの時は増税によって貨幣量を減らすことで、物価をコントロールすべきだ」と言ってたくせに、いざインフレになると消費税減税を主張するのはおかしいだろ!
②消費額の大きい富裕層のほうが、減税した時に得が大きくなるから、消費税減税は格差拡大に繋がりかねず減税は難しい。
というのが、週刊現代の記者の主張のようですが、「???」としか思えない愚論です。
私の主張は、「30年不況で失った国民の逸失所得の累計を取り戻し、かつ日本経済が力強い成長軌道に乗ったことを誰もが確信できるまでは、減税や納税廃止、社保負担全額国庫負担化、BI導入による積極財政を打て! そのうえで、たとえインフレになっても、それがマイルドインフレの範疇に収まっているうちは、増税や財出額減額、社保負担増といった安易な歳出抑制策に甘えるのは絶対にご法度」というものであり、巷のMMTerとは一線を画しますが、週刊現代記者の①の主張はあまりにも幼稚すぎ、思わずMMTerを擁護せざるを得ません。
MMTerが定義する「インフレ」は、日本で起きているような輸入物資の値上げ利に起因するコストプッシュ型インフレ(=インフレによるコスト増加分のほとんどが海外に流出するタイプのインフレ)ではなく、明瞭な所得増や売上増に支えられた旺盛な消費や需要が経済を正の方向に引っ張るディマンドプル型インフレ(=インフレによるコスト増加分の多くが国内の家計や企業の所得や収益として還元されるタイプのインフレ)であるのは自明の理でしょう。
にもかかわらず、コストプッシュ型とディマンドプル型というまったく正反対のインフレを一緒くたにして事実を捻じ曲げ、「インフレなのに減税を主張するのは矛盾してるぞ」と文句をつけるなど笑止千万です。
さすがに、「お前、何言ってんの?MMTerの主張をちゃんと確認してんのか?」とどやしつけたくなりますね。
そもそも、「インフレの要因は複合的で単純化することは不可能だが、「貨幣量の増減」も影響を及ぼしている」という論もあまりに雑過ぎます。
“貨幣量の増減や多寡がインフレ率に大きな影響を与える”なんてのは、素人丸出しのリフレ派並の愚見ですよ。
一口に貨幣量と言っても、日銀当座預金にブタ積みされた消費にほとんど影響を及ぼせない役立たずの貨幣をその定義に含めるのは事実を歪めるだけの屁理屈に過ぎません。
インフレ(ディマンドプル型インフレという正しいインフレ)率の水準に影響を及ぼすのは、「返済の義務を負わず、ただひたすら消費や投資に使うことができる“所得・貯蓄・売上・収益”としての現金や預貯金としての貨幣量の多寡」なのです。
この程度の理屈は、高校生くらいの学習能力があれば十分に理解できるはずですが、週刊現代の記者の脳内レベルは、いったい何歳くらいで停まっているのでしょうかね?
それとも、この記者氏は、これだけ苛烈なコストプッシュ型インフレ下で消費税を増税しろ!とでも言いたいのでしょうか?
もう一つの「消費税減税は富裕層が大きな恩恵を被り格差拡大につながるから、やっちゃダメ!」という主張には失笑を禁じ得ません。
いい大人がこんな戯言を本気で言ってるとしたら、知的レベルを疑われますよ。
ちなみに、年収階層ごとの年間消費税負担額は、ざっとの計算ですが、
・年収400‐500万円世帯:22万円/年収に占める割合:4.8%
・年収1000-1500万円世帯:36万円/年収に占める割合:2.9%
くらいになります。
年収に占める負担割合はどうみても所得が低くなるほど大きくなるのですから、“消費税減税=格差拡大”という妄想が受け入れられる余地はありません。
例えば消費税を廃止すると、富裕層(1000-1500万円世帯を富裕層呼ばわりするのが適切か否かは置いておくとして)の消費税負担額が36万円減りますが、同時に年収400‐500万円世帯(日本の平均的収入)の負担額も22万円減るのですから、それに文句を言う者など誰もいないはず。
自分の懐が豊かになれば、お隣のタワマンに住む富裕層の負担が減ろうが増えようが、そんなものはどうでもよい些事でしかありませんよね。
週刊現代の記者は、平均的な収入世帯が富裕層を指さして、「アイツらばかりが減税の恩恵を受けるのはおかしいだろ!格差拡大だ!」と怒りのボルテージを上げるはずと熱弁を振るっていますが、消費税廃止の恵はすべての家計や企業に及ぶのですから、そこに格差云々を持ち出すのはピントがずれた愚論としか言いようがありません。
「インフレ下での消費税減税」という主張には、“不都合な真実”など一μたりとも存在しません。
インフレ云々以前に、所得不足&需要不足型の30年不況下の減税や社保負担廃止、BI導入といった所得増進策は正当以外の表現が見当たらぬほど正当な政策です。
>MMT派の連中は、「デフレの時は減税で市中の貨幣量を増やし、インフレの時は増税によって貨幣量を減らすことで、物価をコントロールすべきだ」と言ってたくせに、いざインフレになると消費税減税を主張するのはおかしいだろ!
それMMTちゃうで。池戸や。
苦情は緊縮バカに直接どうぞ。