ガソリンや灯油の価格が相変わらず高いですね。
コロナ禍や脱炭素化によりガソリン需要自体は低迷しているはずなのに、投機筋の賭場と化したマーケットの所為で、昨年の夏ころから価格の上昇や高止まりが続き、一般庶民だけでなく中小零細企業のコストを圧迫しています。
ガソリンだけでなく光熱費全般や食料品、肉類や鮮魚、調味料、パンや洋菓子、洗剤や柔軟剤、トイレットペーパーやティッシュ、(セブンイレブンの)弁当、外食全般(特に牛丼)等々、値上げされたものや内容量を減らされたものを数えれば枚挙に暇がありません。
スーパーの売れ残り弁当や総菜に貼る値引きシールも、せいぜい10%~30%止まりで半額シールを見かける機会がめっきり減りました。
生活必需品や身の回り品の多くが、家計の収入レベルをガン無視して値上がりする一方で、国民の平均年収はわずか433万円(2020年)とピーク時(1997年)より7.3%も減っています。
普通に成長する国なら、20年以上もの時間があれば、年収が少なくとも1.5倍、通常ペースなら倍増していても不思議じゃないのに、我が国ときたら逆に減らされているんですから、酷すぎて目も当てられません。
常⽤労働者1⼈平均の⽉間現⾦給与総額の長期推移を見ても、1997年をピークにだらだら下がり続け、現在の水準は1990年をも下回っています。
【参照先】https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/pdf/g0401.pdf
また、先進各国との実質賃金(1997年基準)の推移を比べても、順調に賃金を伸ばし続ける他国を尻目に、唯一我が国だけが基準点より減給の憂き目に遭っているという悲惨さ…(1997年/100→2016年/89.7)
【参照先】https://www.zenroren.gr.jp/jp/housei/data/2018/180221_02.pdf
おまけに税や社保負担は右肩上がりで上昇し、ここ20年余りの国民負担率は2001年/36.5%→2011年/38.9%→2021年/48.0%と容赦ないレベルで重くなっています。
こうした経済禍において、国民生活は困窮の一途を辿っています。
日銀の「生活意識に関するアンケート調査」によると、「現在の物価に対する感想(1年前との比較)」で、「かなり上がった」が、昨年6月調査/6.6%→同9月調査/8.9%→同12月調査/16.6%、「少し上がった」も、昨年6月調査/49.8%→同9月調査/52.6%→同12月調査/60.8%と急上昇しています。
また、体感のインフレ率も、昨年6月調査/+3.9%→同9月調査/+4.4%→同12月調査/+6.3%と高レベルに達しており、家計の苦境ぶりが窺えますね。
その結果、12月調査の「暮らし向きD.I.(「ゆとりが出てきた」―「ゆとりがなくなってきた」)」は▲34.2と9月調査より4.7ポイント悪化しています。(※この値は1998年以降ずっと▲30-▲60辺りで低迷中)
【参照先】https://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki2201.pdf
“収入が順調に減り続ける中で負担が年々重くなる…”
つまり、私たちは、“消費に廻せる金額が減り続ける中で経済成長を夢想する”という「絶対叶うはずのない夢」を追い続けてきたのです。
そろそろ目を覚まして現実を直視し、経済成長と所得増進を実現するための具体策を打つべきです。
“カネを使わずに経済成長する”、“国民を豊かにすることなく骨太の経済基盤を創る”といった寝言を今すぐ地面に叩きつけ、原形を留めぬよう何度も踏みにじらねばなりません。
国家の基礎は一人一人の国民であり、国の基盤は国民による不断の努力や労働、消費という経済活動により構築されています。
いま、その国民が、永遠とも思える収入源と負担増の苛斂誅求に苦しめられています。
出口の見えない迷路に迷い込み狼狽する国民、明ける気配のない漆黒の闇に放り込まれた国民を救うために、果たしてどのような経済政策を採るべきでしょうか?
苦境に苛まれ顔を上げることができない国民に対して、経済論客らはどのような態度をとってきたのでしょうか?
私が見かけたのは、こんな連中でした。
↓
『増税派』…「日本人は甘えすぎ!ヨーロッパを見習え!消費税率30%は既定路線や!」
『緊縮財政派』…「財政破綻ガ~!ハイパーインフレが怖い!PB黒字化は国際公約やぞっ!」
『構造改悪派』…「日本人は怠け者!ベトナム人と競争させろ!正社員は甘え!土建屋と農民は寄生虫ゥ!」
『成長否定派』…「多文化共生社会ガ~!SDCsガ~!レインボー運動ガ~!グレタちゃんッ!」
『リフレ派』…「期待インフレ率ガ~!コミンテルンが~!近衛内閣末期ガ~!」
『生産性至上主義者』…「需要?そんなもの知らんっ!労働本位制ガ~!生産投資ガ~!」
『反BI同盟』…「ネオリベが~!株ブタが~!労働意欲ガ~!万作ガ~!」
『BIはやめとけおじさん』…「BIはやめとけ…」&“コピペの過去記事大連投‼”
※ついでに、『東京五輪反対派』…「北京五輪アゲ!ビンドゥンドゥン!」or“沈黙&逃亡”
いやはや…、現実逃避の役立たずばかりが雁首を揃えたというか、どれを見ても経済禍に苛まれる国民感情を逆撫でするような愚論ばかりで激しい憤りを覚えます。
いったい、彼らの眼には、どんな風景の日本が映っているのでしょうかね?
いまだにバブルっ気が抜けない“昭和脳”な連中には、脳内情報をアップデートしてもらわねばなりません。
いまは不況、しかも尋常ではない「30年不況」の真っただ中なんですよ。
しかも、ふた昔も前より給料が減り、負担だけが1.3倍に膨れ上がるという惨状です。
ここで家計所得を名実両面から一気に増やすという選択肢を早急に取らねばならぬことは異論を俟ちません。
「日本人の美徳ガ~」、「万作ガ~」、「PB悪化ガ~」なんて愚痴を聞いている暇なんて、もはや一秒たりとも残されていないのです。
一般財政支出の規模を政策経費ベースで倍増させるくらい思い切って予算を拡大し、地方交付税交付金や防衛費、インフラ投資、科学技術や医療研究、教育、福祉、警備、消防、防災、物流、情報etc、あらゆる社会分野や産業分野に「遍く・広く・分厚く・長期にわたり」資金を投じなければなりません。
さらに、“消費税廃止・社保料全額国庫負担化・継続型BI”に加えて、公共料金の半額国庫負担、所得税や固定資産税、GS税などの諸税の減税、医療費負担割合の軽減、教育費完全無償化、奨学金負担の免除など、緊縮派の連中が腰を抜かすレベルの大胆な家計所得UP策を講じて、国民の需要力を飛躍的に高める必要があります。
そうした需要が生産サイドを刺激し、さらなる人材確保や育成、設備投資を後押しすることにより、労働条件の改善や国富たる生産力の強靭化につながり、結果としてインフレ耐性が強化され、国内産業の高付加価値化や労働生産性向上が実現されるのです。
インフレやデフレという経済問題を解決する糸口は、「国民生活を豊かにし、その需要に応え得るよう強固な生産力を保ち続けること」に尽きます。
経済も健康も同じです。
外的要因から惹き起こされる諸問題に対峙するのに、病身を抱えたままでは気力がもちません。
“元気があれば何でもできる”
“国民が豊かで産業基盤も強力なら、大概の問題は解決できる”
経済政策が目指すべき方向は、極めて単純明快なのです。