デフレ脱却を目指す上で、最も困難な点は合成の誤謬から抜け出す事だと思います。
我々の家計感覚では、借金なんてしないに越した事はありませんし、お金は大切に使うべきです。
これらの発想は日常に結びついているだけに、非常に強固な固定観念となります。その固定観念から抜け出す事は非常に困難ですし、緊縮派はその難しさを盾に人々を惑わそうとしてきます。あるいは、彼ら自身も合成の誤謬にハマっているのかもしれません。
そこで、出来るだけ分かりやすい言葉を選んで、その固定観念から抜け出せるようなスローガンを考えてみました。
細かい部分なんかはかなり端折っていますので、その点はご容赦下さい。
・我々個人にとっては、お金は原資である
足りなくなったら稼ぐなり借りるなり、何処からか調達しなければならない
一万円札を勝手に作るのは犯罪だからだ
・一方、お金を作れる政府にとっては、お金はあくまで国内の経済を回すためのツール、インフラストラクチャーの一種である
・お金を作る政府が「お金がなくて困る」というような事は起こり得ない
エクセルを使っていて、行数が足りなくて表が作れない、なんて事は起こり得ないのと同じである
・ツールは、必要に応じて作り、多過ぎるのなら減らせば良い
エクセルで表の行数が足りないなら一行増やし、余計な行があるなら消せば良い
・税金とは、お金が多過ぎるときに余分なお金を集めて消すための消しゴムである
・お金そのものには価値はない
一万円札は単なるおっさんの肖像画が書かれた紙だ
無人島に一億円を持っていけば分かるだろう
・真の価値は、そのお金で回る経済そのもの、その中でやり取りされる物やサービスにこそある
すなわち、車であり、レストランであり、工場の機材であり、君たちが仕事の中で得たノウハウである
・国の借金(自国通貨建ての国債)は、利息のついたお金と考えて良い
何故なら、お金をゼロから作れる中央銀行が、作ったお金で国債を買い取ってしまえば、返す必要などなくなるからだ
・国の借金は増え続けるのが正常である
これはこう言い換えることができる
「国内のお金というものは、増え続けるのが正常である」
・何故増え続けるのが正常なのか、それは経済とは成長を続けるのがあるべき姿であるからだ
成長に応じて、また時には成長を促すためにお金の総量は増やし続けるのが正常である
・金本位制では国の借金やお金の総量に限界があった
つまり金(ゴールド)の総量という物質的な制約だ
・管理通貨制度ではその制約からは解き放たれている
100年前の日本国の借金は1億円にも満たなかった
彼らが今の1000兆円を超える借金を見たら、きっと卒倒するだろう
・管理通貨制度でのお金・国の借金の総量には上限がない
限界はその増える速度の中にこそある
それがインフレ率(インフレの起こる速度)である
以上、スローガンと言いながら、それにしては一つ一つが長くなってしまいましたが、本当に一文だけとかにしてしまうと、それこそ訳が分からない事になってしまうため、この長さが限界かなと感じております。
内容としては、極力通貨発行者の視点だとお金や経済はどういうものとなるのか、という点を主軸に書いてみました。
最後になりましたが、1人でも多くの人が合成の誤謬から脱却できることを願っております。