北海道の寿都町と神恵内村が原発から出る高レベル放射性廃棄物いわゆる核のゴミの最終処分場選定に向けた国の第1段階の調査受け入れを正式に決定した。この2つの町と村では賛否をめぐって地域が二分される状況となっている。
地方の弱みにつけこんで処分場を押し付けるやり方はナショナリズムを破壊する
私は、「核のゴミ」は他の処分方法が開発されるまではどこかで最終処分場を受け入れるしかないと考えているが、国が緊縮財政で地方交付税交付金の十分な増額や地方の発展に必要不可欠なインフラ投資をサボり地方の衰退を放置しておいて、苦しむ地方に見返りの交付金をちらつかせて迷惑施設を押し付けるというようなやり方は反対である。
そのようなやり方はナショナリズムを破壊して国民同士の分断を深め国家の存続を危うくするからだ。特に我が国は自然災害大国であるうえ、気候変動で食料危機など地球規模の非常事態がいつ起こってもおかしくないような時代に入りつつある。そんななかで国民同士が助け合うナショナリズムが失われれば日本人は生き延びることができない。
都市部の国民が田舎に住む同じ国民を見下せば必ずしっぺ返しをくらう
「都会の国民が田舎が衰退してるのは怠けているからだ、自己責任だ」と決めつけて田舎の人々を見下して迷惑施設を押し付けるような態度をとったときに田舎の人々は都会の人々が災害などに襲われたときに助けようという気持ちを持てるだろうか。私がその立場ならそんなお人好しになれる自信はない。また、迷惑施設を受け入れた地域に多額の交付金が投入されることにそれ以外の地域の人々が強いルサンチマンを抱けばそれもナショナリズムの崩壊につながる。
北海道の人々は別に怠けていたわけではない 衰退の原因は政府が必要な財政出動をサボったことにある
そもそも、北海道の人々は決して怠けているわけではない。日本国の「食料基地」でありまたロシアとの国境の土地でもある安全保障上重要な地域であるにもかかわらず、国がインフラ投資など北海道への財政出動をサボったから衰退しているのだ。核のゴミの処分場を設置するかしないかに関係なく、国は積極財政により北海道のポテンシャル最大限に活かした経済発展を可能にし、食料基地や国境の守りの機能を高め日本全体の安全保障を強化すべきだ。
日本全土への平等な財政出動で「金のため」ではなく共同体意識に基づき迷惑施設を受け入れてもらえる環境をつくれ
北海道から沖縄まで全ての自治体に地方交付税交付金を大幅増額し、インフラ投資も拡大し迷惑施設の受け入れの有無に関係なく全国どこに住んでいても国民が豊かで安全に暮らせる国にしたうえで、核のゴミ処分場を受け入れる地域にある程度の財政面などでの優遇は必要だとしても、その地域の人々に「お金のために仕方なく」ではなく、同じ国民としての助け合いとして受け入れる気持ちになってもらえるように誠意をもって説得し、放射性廃棄物の無害化や半減期短縮など地層処分以外の処理方法の研究への財政出動も大幅拡大し、地層処分を永続化せず受け入れ地域決して見捨てないよう最大限の努力をする姿勢を政府が示すべきである。