中央道笹子トンネル事故から8年 悲劇を繰り返さないために間違った貨幣観から脱却を

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8年前に中央自動車道の笹子トンネルで9名が犠牲となる天井板落下事故が発生するなど、高度成長期に建設されたインフラの老朽化が深刻化している。この問題の解決につながる正しい国民世論形成に資する報道をすることはメディアの責務である。しかし、NHKは12月2日に放送したクローズアップ現代プラス「老朽化インフラ 教訓はなぜ生かされていないのか 笹子トンネル事故8年」で国民の受信料を使って、国民の安全を守ることよりいかにして政府支出を抑えるかに重点をおき、問題解決に全く役に立たないどころかさらに問題を悪化させかねない報道をしていた。

老朽化インフラ 教訓はなぜ生かされていないのか ~笹子トンネル事故8年~ - NHK クローズアップ現代 全記録
【NHK】笹子トンネルで天井板が崩落し9人が犠牲になった事故から8年。事故後、国は5年に1度、トンネルや橋の点検を義務化し、危険性の高いインフラの早期修繕を掲げてきた。しかし今回、早期修繕が必要とされた全国の橋とトンネルを初めて可視化した「インフラハザードマップ」を作成したところ、約7万3千か所のうち6割以上が「未着手...
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選択と集中は我が国の国土条件では国民殺しでしかない

その中で富山市が行っているインフラのトリアージという取り組みを取り上げていた。これは迂回して他の橋を使っても時間がそんなに変わらないとか使用頻度が少ない場合にその橋を廃止するなど補修や更新に優先順位をつけてコストを抑制するというものだ。建設業の供給力には限界があるのである程度の優先順位をつける必要はある。ただ、平時には少し時間がかかるのは問題ないとしても一分一秒が生死を分ける救急搬送や災害に備えて複数の代替ルートを確保する必要性を考慮すれば自然災害大国である我が国において安易に橋などを廃止すべきではない。また、仮に廃止するにしても、通行止めにしただけでは問題解決にならない。跨道橋が老朽化して崩落したら下を通る高速道路や鉄道に被害を与えるし、河川の橋の倒壊は水の流れを妨げ流域に浸水被害を出す恐れがあるので迅速に解体を行うための十分な予算を確保しなければならない。

地方のインフラはまだまだ足りてない

さらに番組では老朽化インフラの維持管理費用がかさむ中で新規建設が多く行われていることを問題視していたが、交通インフラの整った東京でセレブな暮らしをしているNHK職員にはわからないのかも知れないが、高速道路は未開通区間や対面通行区間が多く、四国や山陰は未だに新幹線が未整備など地方ではインフラは全く足りてない。このインフラ格差が一極集中を引き起こし現在の東京の新型コロナの深刻な感染状況の原因となっている。この一極集中を放置した状態で東京が首都直下地震などの大災害に襲われればセレブな生活を謳歌している東京都民も甚大な被害に遭うのは避けられない。

財政破綻リスクは無いのだから必要なだけ国債を発行すれば済むだけのはなし

このような間違った貨幣観(お金のプール論)に基づく選択と集中型のインフラ対策は全く問題解決に効果がない。デフレによる税収減や高齢化による社会保障費の増加が続けば、選択と集中で予算を削っても老朽化対策の予算が不足する可能性があるし、たとえお金は確保できても、選択と集中の結果需要減になった建設業界が人材や設備投資を減らし供給力が低下すれば優先度の高いインフラの維持さえできなくなる恐れもある。
EU加盟国など自国に通貨発行権が無く国債のデフォルトのリスクがある国や供給能力が不十分でインフレ率が高まっている発展途上国の場合は選択と集中は必要だが、我が国日本は国債は100%円建てなので日銀が国債を買い取れば政府債務の返済は必要なくなるので日本政府のデフォルトのリスクは皆無だし、インフレの真逆のデフレ下で供給能力には十分余裕がある。つまり、我が国は政府と国会が決断さえすれば、インフレ率の許容範囲内ならば国債発行で必要なだけ財源を調達し、インフラの維持管理にも新規建設にも社会保障や教育にも十分な予算をつけて国民の豊かで安全な暮らしを実現することが可能なのだ。

自分や大切な人の命を守るために貨幣観やナショナリズムの欠如した政治家を落選させよう

NHKをはじめとするメディアが機能不全に陥っている以上、私達が自力で正しい貨幣観を身につけるしかない。笹子トンネル事故の犠牲者の死を無にしないために私達国民がやるべきことは、番組のインタビューで「正直言うと不可能だと思います、全て更新するのは。それは橋りょうも道路もトンネルも箇所数を減らすか、(修繕までの)時間を延ばすか、どちらしかない。福祉や教育の予算を削って橋を架け替えるなんて、今の時代はできない。全部は救えない。」などと答えた富山市の森雅志市長のような国家観と貨幣観の欠如した政治家を落選させ、地方には国に積極財政を要求する首長や議員を国政には正しい貨幣観に基づき正しい財政政策を実行できる政治家を送ることである。

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