前回の投稿では、NHKの「NHKスペシャル」や「おはよう日本」において東日本大震災について取り上げた内容が政権への忖度に満ちていて、真に被災者のための報道となっていないということを書いたが、地方局レベルでも同じことをしているようである。 3月13日にNHK松山放送局が放送した「四国らしんばん」では「最悪の24時間を生きのびろ」というタイトルで、南海トラフ地震に備えていくうえでの四国の課題について取り上げていた。
問題意識は正しいが・・・
番組の中で次のような問題提起がなされていた。(1)津波が海からだけでなく、川を速いスピードで遡上し避難する人々が川と海の2方向からの津波に挟み撃ちになる恐れがある。(2)道路で液状化が発生し津波避難の妨げになる危険がある。(3)液状化で堤防が沈下するなどして津波の水が長期にわたって引かない長期浸水が発生する可能性がある。(4)周辺の浸水で病院が孤立状態になったり負傷者が殺到して医療崩壊が発生する恐れがある。
ハード軽視の自助・共助偏重では命は守れない
このような問題提起自体は全くもって正しいのだが、問題なのはそれに対し示されていた解決策だ。これらの解決にはハード対策の強化が必要不可欠だというのは火を見るより明らかなのに、ハード対策への言及はほとんどなく、自助・共助に関することばかりにふれた内容だった。もちろん、災害から命を守るために自助や共助が重要であるということには全く異論はない。一方で、ハード対策が不十分だとどんなに自助・共助に力を入れても命を守ることができないというのもまた事実である。
避難を助けるハード対策が必要
(1)や(2)については、河川と海岸の堤防強化で津波の到達を可能な限り遅らせる、避難タワー等を増設する、道路の液状化対策工事を急ぐなどのハード対策がなければ自助・共助だけで多くの人命を救うことは困難だ。
堤防強化が未だに完了してないことが問題
(3)については、堤防の液状化を防止することは技術的には十分可能であり、そうした対策工事を急ぐべきだ。そうでなければ、せっかく避難して助かった多くの人命が避難生活の長期化や衛生状態の悪化による疾病、復旧・復興の遅れによるストレスによる自殺などで脅かされてしまう。
道路が寸断された状態ではボランティアの支援は不可能
(4)への解決策として番組では、災害ボランティア団体との連携に言及していた。しかし、道路が寸断されたり激しく渋滞していればボランティアがいくら頑張っても患者の移送はできないし、受け入れ先を確保しておく必要もある。四国の高速道路は未開通区間が多く残されているほか、通っている所も災害時に通行止めになる可能性の高い対面通行区間が少なくない。未開通区間の解消や対面通行区間の4車線化を急ぐ必要がある。
医療費削減が災害時の医療崩壊を引き起こす
また、国は医療費削減のために地方の公立病院の統廃合など病床数の削減を推進しているが、これでは病院が被災した際の患者の受け入れ先がなくなってしまうので政策を撤回すべきだ。
最も効果的な自助・共助は国民が政府に積極財政を要求すること
上記のようなことをNHKの番組制作にかかわる職員がわからないわけがない。緊縮財政路線の安倍政権と財務省に忖度している以外に番組でハード対策の必要性にあえて言及しない理由は思いつかない。自国通貨建てのみで国債を発行しているため日本政府には財政破綻のリスクは皆無で、インフレ率の許容範囲内なら歳出拡大に制約はない、災害から命を守るためにはハード対策が必要という事実を伝え、この国の主権者である国民が政府に対して積極財政によるハード面の防災・減災対策強化を強く要求するという最も効果的な自助・共助の実行を促すことこそ公共放送の責務なのではないだろうか。その責務を放棄するというのならNHKに受信料を払うことには到底納得できない。
お邪魔いたしますです。
また、反論めいたことを書きます。お許し下さいです。
番組は住民に向けられたものです。震災発生時は、防潮堤が有ろうが無かろうが避難なのです。防潮堤が現状でも新造の豪華なものでも避難なのです。つまり、現状で何が出来るのかって視点だと思います。
東日本大震災では「防災庁舎の悲劇」がありました。過信して本来は避難施設とされていない建物に人が集まったのです。避難すれば良いだけではなく、正しい避難が身を守るのです。
「まるで忖度のようだ」なら判りますが、言い切るのは筋違いになるのではないでしょうか?
国土強靱化を求める記事なら、NHKより行政に向けられるべきです。そうでなければ、番組で語られない、番組と違う視点の提供とするべきだと思います。
住民から行政に求めるべき点は網羅されているのではないかと思います。住民が出来る範囲として選挙などで求める点になるでしょう。
自助は避難。共助は求め改善を重ねていくものだと思うです。