池戸万作主催、現代貨幣理論とは何か井上智洋と島倉原の対談会に参加

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大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2020年3月12日(令和2年3月12日)

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池戸万作主催の現代貨幣理論の講演会に参加しました

池戸万作氏(以下敬称略)が主催された、現代貨幣理論の講演会に参加しましたので、そのご報告をさせていただきたいと思います。

まずは講演会の概要から説明させていただきます。
以下、MMT (現代貨幣理論)とは何か~井上智洋×島倉原対談会~より一部抜粋

昨年12月に、奇しくも同じタイトルの書籍『MMT(現代貨幣理論)とは何か』を出版された井上智洋先生と島倉原先生による夢のMMT対談会がここに実現!

拡張的な財政政策を主張されている点では共通するも、少し異なる経済観を持ち、これまで交わる機会がなかったお二人に、MMT(現代貨幣理論)の議論を踏まえながら、対談を行って頂くイベントです。

主催・司会進行は池戸万作が務めさせて頂きます。

日時:2020年3月8日(日)13:30~16:30(開場時間13:10)
場所:入谷ホール(東京都台東区入谷1-27-4プラーズ入谷2階)
東京メトロ日比谷線「入谷」駅より徒歩3分
JR山手線「鶯谷」駅より徒歩10分

参加費:2,000円

※当日の飛び込み参加は、参加者多数の場合はお断り致しますので、予め参加のお申込みをお願いします。

内容:
13:30~14:10 井上智洋先生講演
14:15~14:55 島倉原先生講演
14:55~15:10 15分間休憩
15:10~16:10 井上智洋先生×島倉原先生対談会(司会:池戸万作)
16:15~16:30 質疑応答

以上、MMT (現代貨幣理論)とは何か~井上智洋×島倉原対談会~より一部抜粋

井上智洋と島倉原は両者ともMMTerであることを否定

この講演会において、私個人が印象に残っているところをご紹介しようと思っています。
ある意味当然ですが、井上智洋氏(以下敬称略)と島倉原氏(以下敬称略)は両者ともMMTerであることを否定しました。

MMT(現代貨幣理論)を金科玉条の如く取り扱うことに対して否定的であり、宗教的なものにするべきではないということなのだと解釈しています。

SNS上においては、本場(欧米系現代貨幣理論)から外れたことを主張すると、それはMMT的におかしいとヒステリックになる方がいらっしゃる印象ですが、それは厳に慎むべきということなのでしょう。

賛成できるところがありつつ、懐疑的なところもあるというスタンスを採用してらっしゃるようです。

特に、就業保証プログラムに関しては現実的には導入が難しい、もしくは限定的な導入ならば可能なのではないかというお話がございました。

後は、現代貨幣理論に関する基本的な説明がございまして、それに関してはお二人の著書をご購入いただければ幸いに存じます。

井上智洋著『MMT 現代貨幣理論とは何か (講談社選書メチエ) Kindle版

島倉原著『MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論 (角川新書) Kindle版

量的緩和は止めた方がいいと主張する島倉原

率直に驚いたことは、島倉は講演会の中で量的緩和は止めた方がいいのではないか、なぜならば、量的緩和の影響で地方銀行の収益が低下しているからというお話がございました。

日銀がマイナス金利を0.1%深掘りすると地方銀行の本業収益は21%減少する―。
米S&Pグローバル・レーティングはこんな試算をまとめた。
貸出金利に低下圧力がかかるためで、国内貸し出しに収益の大半を依存する地銀の収益を直撃する。
さらに国内貸出業務が実質赤字の地銀は足元の49行から56行に増えるという。

引用元: 地銀の本業収益21%減少、マイナス金利0.1%深掘りなら S&P試算

日経新聞のニュースにもございます通り、民間銀行が個人や民間企業へ貸し付ける際の金利が低下して、収益が低下してしまうということが現実に発生しています。

このままだと地方銀行が破綻するか大合併するということになりかねないということを危惧されてのお話だったのではないかと推察します。

さらに付言するならば、量的緩和で収益が低下したため、ハイリスクな不動産投資への融資が増えてしまい、スルガ銀行の「かぼちゃの馬車問題」などが発生しているという点も島倉は言及していました。

「かぼちゃの馬車」事件で、スルガ銀に非がある理由は2つある。1つは、同行に寄せられた内部告発によって「かぼちゃの馬車」を販売、運営するスマートデイズ(SD)が問題企業である可能性が高いことを認識していたにもかかわらず、SDが販売した物件の購入者(投資家)にいわゆるアパートローンを提供していたことだ。
(中略)
SDが販売した物件は、周辺家賃相場や利用者ニーズなどから想定される物件収支に釣り合わない割高価格だった。
その分、スルガ銀は貸し倒れリスクが高くなる可能性があるにもかかわらず、同行はアパートローンを引き受けていた。
特に問題なのが、ローン審査を通過できるよう、預金通帳などの審査資料を改ざんする不正を行っていたことだ。

引用元: 【特集】まだ終わらないスルガ銀の不正融資事件――「かぼちゃの馬車事件」のその後(最終回)

最近の不動産関連の事件までご存知とは素晴らしいと思います。

ユニバーサル・ベーシックインカムが争点になるが、島倉の主張に異議あり

この講演会においては、池戸と井上がユニバーサル・ベーシックインカムに賛成であり、島倉が懐疑的な立場でした。

私個人としてもユニバーサル・ベーシックインカムに賛成の立場として、どういった論争が繰り広げられるのか興味深くお話を拝聴していました。

今回興味深いと思ったのは、島倉のユニバーサル・ベーシックインカム反対論があまりにも弱かったことです。

以下、島倉のユニバーサル・ベーシックインカム(社会保障等は削減せずに、国民一人当たり定額のお金を支給する政策)反対論を記述します。
主に4つあるようでした。

1、供給能力が高まらない
2、ビルトインスタビライザー機能が無い

3、個人主義の助長
4、優先するべきではない、AIによって雇用が崩壊したら合理的かもしれない

1に関して反論しますと、ユニバーサル・ベーシックインカムで消費や投資が喚起されれば、その需要に対応するべく民間企業が供給能力を強化するでしょう。

むしろユニバーサル・ベーシックインカムによる需要の増大に対応できない民間企業は収益を増やせないため、資本主義経済下における自由競争に敗北することは必至です。

需要増大に対して、民間企業が全くの無為無策だとでも考えているのでしょうか。

2に関して反論しますと、一定期間、国民一人当たりに配るお金が定額なのであればビルトインスタビライザーが十分に働くと思います。

まず、ユニバーサル・ベーシックインカムによってインフレが生じれば、お金の価値が低減します。

仮に、年間100万円のユニバーサル・ベーシックインカムを導入して、その他の財政出動も含め年間5%の物価上昇が継続したとします。
100万円の価値が次の年には95万円になります。

逆に、2%のデフレになった場合、100万円の価値が102万円に増えることになります。
景気が過熱するとその価値を減らし、景気が冷え込むとその価値が高まるので、定額のお金を支給するのであればビルトインスタビライザーが機能します。

さらに申し上げるのであれば、所得税は累進課税ですから、ユニバーサル・ベーシックインカムで支給されたお金も課税対象にすれば、お金持ちに支給したお金はある程度徴収することが可能です。

3に関して反論しますと、ユニバーサル・ベーシックインカムを導入するためには、日本国民がどこに居住していて、本当に生きているのか否かを判断しなければなりません。

したがって、地方自治体などが個人に対する生存確認をすることになりますし、実際に支給するとなると、地方自治体がその実務を行うことになりましょう。

さらに、地方在住の人であれば、地方で消費することが割合として多いでしょうから、地方の雇用と所得が増え、それがさらなる消費を生み出す好循環が始まると確信します。

個人主義が台頭するのではなく、地域社会による緩やかな連帯が生じるのではないでしょうか。
お金が無いから個人主義が台頭しているのではないでしょうか。

島倉はお金を給付して、相対的貧困、地方創生、少子高齢化などを解決するということに興味関心が薄いのではないかと推察します。

4に関して反論しますと、AIによる雇用崩壊が生じるかどうかはわかりませんが、そのような破滅的なことが生じたときの事後対応では、人は救えません。

繰り返しになるかもしれませんが、労働だけでは救えない人も存在しているということをご理解できないのではないかと。

本日は以上です。
コメントをいただければ幸いに存じます。

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黄昏のタロ
4 years ago

お邪魔いたしますです。

>特に、就業保証プログラムに関しては現実的には導入が難しい、もしくは限定的な導入ならば可能なのではないかというお話がございました。

 思い付いたので、コメントに残すことにしたです。

 国の補助で行われて、普通の企業の様に利益優先としなくても良いなら、選択肢が広がると思ったです。

 NHKの集金人はどうでしょう?
 会社組織になってて、契約=利益で会社の収益や賃金を捻出するので、強引な契約に結び付くです。
 具体的には思い付かないですけど、見守りや居住実体の把握とかを結び付けたりかなって考えてるです。契約より訪問を重視した調査を担って、契約などの再訪問はNHK直轄とか。

 こーいった利益優先で悪評が立つ業種は、規制も兼ねてJGPが担うのに向いてるのかなと思うんです。

当ブログは2019年5月に移転しました。旧進撃の庶民
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