今のいい動きが将来にまで続くことを想像するのが戦略的なものの考えというものだろう。
開業からわずか3年で世界最長に……中国の爆安新幹線の乗り心地はいかほどか?
10/28(月) 5:30配信
残念な記事というのはこういう記事ではないかという手本のような感じである。途中までは期待を持たせて、内容に期待を高めたうえで、内容を見れば、隣のデブ氏を避けるために腰をいわせてしまい、肝心の乗り心地のレポートが、腰痛までの無理な姿勢は、長時間乗車には致命的なダメージを与えるということだけが分かったものだったからだ。
それでも、鉄道ファン的に知りたいあるいは、利用客として知りたい情報としては、切符購入から乗るまでの過程、乗り心地、通過する景色などがあるが、あまり揺れずに快適であるという情報にとどまっていた。ただし、記事本体というよりは、ほかの体験者からの簡易レポートがコメント欄に書かれており、それを含めれば有用な情報といえなくもないので、そういうコメントを書かせた記事、という意味ではコメントを含めたコンテンツとしては有用である、という少々アクロバットな価値のあげ方を果たしていた。
要するにコメントまで読んでなんぼの記事である。
ただ、コメントは記者の意図とは違うことも書かれていて、中国の新幹線の成功を否定しようとする内容も書かれていることは留意するべきであろう。短期間で世界最長ともいえる高速鉄道網を作り上げた生産力には、脱帽せざるを得ない。もちろん、作り上げたあと、それを維持するというのは別の種類の対応が必要である、ということは間違いないだろう。それに対して、実績があるのは日本の方には違いない。
しかし、実際の日本の問題としては、無駄に欧米の新自由主義に基づく金もうけの価値観を無批判に受け入れ、「未来のあるかもわからない」としてインフラの崩壊にできるだけ金をかけないというやり方に変えてきたことにある。しかも、そのような態度の変化に対して、関わっていない人々は以前までの、しつこいまでの維持に対する執念を維持していると勘違いしているところまで含めると、問題は相当深刻なのである。
中国が維持の問題を甘く見て、大事故を起こす可能性は確かにある。財政の問題がない状況を考えれば、労働力の問題がない状況と合わせると、逆にその問題に気が付く余裕があればその対策はできるのである。日本は、以前には持ち合わせていた維持にかける執念を手放してしばらくたとうとしているのである。鉄道会社が維持にかけるコストを上げることはなく少なくすることを躊躇なく行い続けているのである。政府が推進しているという背景もあって、海外からの調達もむしろ積極的に行っている。国内市場の維持するための供給能力は落ちるばかりだろう。
多極化時代では、いつまでも海外の供給力に頼って未来永劫、維持する生産力を持ち続けることは難しい。その場のビジネスに全振りして国内から跡形もなくなるぐらいに生産力を海外に移すのは未来の国内の新幹線のことを考えていないということになるのだ。