心ある方の中には、中・韓・鮮による歴史の捏造や歪曲を苦々しく思い、強い憤りを覚える方々も多いと思いますが、こと歴史問題だけにとどまらず、経済政策史、しかも、ここ20~30年の超近代史ですら、自分勝手な妄想から、平気な顔で捏造し大嘘を吐く者がいます。
『れいわ新選組も掲げる異端の経済理論「MMT」って何? その“強烈な弊害”まで徹底解説』(加谷珪一 経済評論家)
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1908/19/news031.html
コラムを書いた加谷氏は、恣意的に事実を捻じ曲げ、都合よく修正している箇所がいくつもあります。
それらを指摘し、緊縮教徒による超近代経済政策史に対する捏造の悪質さを批判していきたいと思います。(以下、「」内は加谷氏の妄言)
「景気を良くするための方策は基本的に3つしかない。
1つ目は政府が公共事業などを行って景気を刺激する「財政政策」、2つ目は金利を引き下げることで銀行の貸し出し増加を狙う「金融政策」、そして、3つ目は、経済の仕組みを変え、自発的にマネーが回り出すよう促す「規制緩和(構造改革)」である。どんなに複雑に見える経済政策であっても、基本的はこれら3つの組み合わせになっている」
►3つ目の“規制緩和(構造改悪)”は過大評価されがちです。
規制緩和に、経済の仕組みを変える力などなく、マネーを自発的に回りださせるような効果もありません。
一般的に、投資や消費を促す力が強いのは「規制強化>規制緩和」です。
排ガス規制、CO2規制、家畜糞尿排出規制、ゴミ排出規制、たばこ規制、自動車燃費基準引き上げ、ハラル対応等々、規制強化が投資を促す事例に事欠きませんが、規制緩和がもたらすのは競合激化や安値競争による企業の疲弊ばかり。
おそらく規制緩和で需要が拡大する分野があるとしたら、「銃火器・性産業・麻薬」といったいかがわしいものばかりでしょう。
「主流派経済学では、過度な政府債務は金利の上昇を招き、民間の設備投資を抑制するなどの弊害があるため、リスク要因と認識されている」
►政府債務(国債)の残高は平成元年の160兆円から、昨年末には880兆円余りに拡大していますが、肝心の金利はと言えば、当時6.2%もの高利率が、いまやマイナス金利に落ち込む始末です。
アレッ、過度な国債発行は金利急騰とハイパーインフレを招くんじゃないんですかね?
主流派経済学の常識を覆す“過剰債務下での金利急降下”という事象がなぜ起きたのか、加谷氏は合理的に説明すべきでしょう。
このままだと、主流派経済学は現実すら説明できないポンコツ学派ってことになっちゃいますよ?
「財政の効果が薄い場合には、金利を引き下げるといった金融政策が効果的だが、日本の場合には長期デフレが続き、金利が著しく低下したため、金融政策の効果も期待できなくなった」
►金融政策が最も効果を発揮できるのは、過剰な財政政策により過熱気味になった経済を冷却するケースです。
次に効果的なのは、景気過熱感が高まり投資熱が上がる中、市場が資金不足にある状態で金融緩和するケースです。
金融政策の効能は、“冷却・保温・加熱”それぞれ認められますが、効能が最大化するのは、やはり冷却機能でしょう。
金融政策の加熱機能を発揮するには、財政政策の強力なアシストが欠かせません。
加谷氏は、「小渕政権時代の財政政策が効かず、次善の策として打った金融政策も長期デフレにより効果を失った」という文脈で騙っています。
しかし、長期デフレをもたらしたのは、小渕政権時代の積極財政策を蔑ろにした小泉バカ政権以降の緊縮政策の所為である以上、「財政政策を十二分にやったが効き目がなかったから、金融政策に頼らざるを得なかった」かのような言い草は史実に対する悪質な捏造です。
そもそも、財政政策の効き目が薄いから金融政策をやろう(=薄汚い財政政策をやらずに金融政策だけで済まそう)ってのが大間違いで、財政政策がもたらす好景気という土台なくして金融政策の存在意義などありえません
「量的緩和策は金融政策を強化した劇薬とも呼べる政策だが、残念ながら日本では大きな成果を出すことができなかった。日銀が供給したマネーのほとんどは日銀当座預金に積み上がったままで市場に出回らなかったからである」
►量的金融緩和政策が日銀当座預金のブタ積みしか生まなかったとの指摘は、間違いではありませんが不正確です。
量的緩和政策は、
①日銀による事実上の国債買取りをやっても、通貨の暴落もハイパーインフレも起きないことを実証した
②金融緩和政策が金利抑制に絶大なる威力を発揮することを証明した
③日銀による大量の国債買取を通じて政府債務の実質的負担を半減することができた
④日銀券ルールが何の根拠もない大嘘であることを証明した
という点でそれなりの功績を残しました。
金融政策の効果がいまいちだったのは、ただ単に、積極的な財政政策という“エースで四番の主軸”を欠き攻撃力がなかっただけのことです。
財政政策によって実体経済を直接的に刺激できていれば、日銀が供給したマネーは間違いなく市場に出回っていたでしょう。
「財政をやってもダメ、金融政策(量的緩和策)をやってもダメ、構造改革は途中で頓挫、という状況で登場してきたのがこのMMTである」
►いえいえ、そもそも“財政政策”はやっていないでしょ?逆に、緊縮政策と構造改悪はやりたい放題にやりましたよね??景気がどん底なのは、あんたらの所為でしょ?
「確かにインフレ率が一定水準を超えた場合、財政出動を停止したり、金利を引き上げたりすれば、インフレをコントロールすることは可能だろう。だが、現実には、インフレが始まってから、これを抑制するのは簡単なことではない」
►平成元年以降、インフレ率が2%を超えたのは平成元年・2年・3年の3回だけ。
平成4年に1%台、平成6年には0%台に落ち込んだのに、平成元年にわざわざ消費税を創設し、その後3回も税率を上げたのは、いったいどこの国でしたっけ?
社会保障料の国民負担率だって、平成初期に10%台だったのがいまや17%超えですよ。
おかげで、我が国は不名誉な“インフレ退治名人”の名声を不動のものとし、世界で唯一の非成長国に転落しましたよね?
財出抜きのデフレコントロールは絶対に不可能ですが、インフレコントロールなどいとも容易いことくらい、日本人なら誰でも知っていますよ。
「れいわ新選組は公務員の大増員、最低賃金1500円、奨学金の政府による肩代わり、農家の所得補償、公共事業の大幅な拡大といった巨額の財政支出を、消費税を廃止した上で実施するとしており、れいわ政権下では多くの国民が政府支出に頼って生活することになる。ここでインフレ率が2%に達した場合、これらの支出が一気に削減されることになり、低所得者の生活を直撃する可能性がある」
►れいわ新選組の主張に沿って、“公務員の大増員、最低賃金1500円(※私なら3,000円を主張します!)、奨学金の政府による肩代わり、農家の所得補償、公共事業の大幅な拡大といった巨額の財政支出”とやらを行ったとしたら、民需が過熱し、民間投資や消費が活性化しますから、「多くの国民が政府支出に頼って生活する」なんていう加谷氏の妄想は霧散し、民需主体・民間主導型の好景気が生まれると思いますよ。
それと、インフレ恐怖症の皆さんに釘を刺しておきたいのですが、インフレ率がたったの2%に届いたくらいで財出を抑えたり、控えたりする必要なんてありません。
いったい何年間デフレに苦しんできたと思っているんですか?
積極財政のアクセルを踏んだ当初は不況への警戒感からインフレの効きが悪く、その後徐々に消費が加熱してインフレ率が4~5%に上昇し、数年で2~3%程度に落ち着くでしょう。
初期段階に発生する2%くらいのインフレにビビってブレーキを掛けてしまっては、不況に逆戻りしかねません。
加谷氏みたいに事実や史実を捏造し、景気回復の手段や芽を摘もうと必死になる輩こそ、経済にとって“強烈な弊害”であることを自覚してもらいたいものです。