NHKの「ノーナレ」という番組で愛媛県の名産品の一つの今治タオルの生産に関わる業者における外国人技能実習生の過酷な労働実態が報道され、業界団体に抗議の電話が殺到するなど「炎上」している。
日本人と外国人双方の利益となる解決を
私も今治タオルを使ったことがあるが、肌触りや吸水性が他の製品と格段に違いとても良いものだった。このような良い製品でも低賃金労働がないと業者の経営が成り立たない、つまりは安く売らざる得ないほど国民の懐具合が冷え込んでしまっていることが一番の問題だと思う。 国内消費を活発にし、良質な製品が高くても売れて日本人をマイホームを持ち、結婚して子供を産み育てられるような高給で雇えるだけの価格転嫁を可能にし、外国人については母国で豊かに暮らせて日本に移民しなくても済むようにすることを最終ゴールとして業界と政府は解決に取り組むべきだ。以下に具体策を提案したいと思う。
不買運動ではなく優良業者の製品を買って応援しよう
事態は不買運動の呼びかけにまで発展しているが、不買運動ではなく、優良な業者の製品を買って応援するほうが改善につながるのではないだろうか。業界団体も、ロスジェネ世代、ニート・引きこもり、障害者、高齢者を含む日本人の高給での雇用、快適な労働環境整備、自動化・省力化投資などに取り組む優良業者の製品をブランド化するなど消費者へアピールすべきだ。売上の一部を外国人が移民しなくても済むように途上国の雇用創出支援に充ててもいいだろう。
本当に働く日本人はいないのか
少子化で日本人がいないから移民に頼らざるを得ないというのは間違いだ。正しくは、デフレ下で経営が成り立つ程度の安い賃金でコキ使える日本人がいないだけなのである。ニートは71万人、引きこもりは若年者で54万人超、中高年で61万人超、就職氷河期世代で非正規や無職者は400万人、家族の介護などで休職後に体を壊し求職活動をしていないため失業者にカウントされていない「ミッシングワーカー」は103万人もいる。こうした人達の社会復帰を支援し、企業がまともな賃金を支払えば労働力不足は大幅に改善できるはずだ。
最も重要なのは国民の懐を温める政策
さらに重要なのが日本人の懐具合を温め、良質な地場産品を生産する業者が労働者の待遇改善や設備投資をするのに十分な価格転嫁を可能にすることだ。その実現には政府の役割が欠かせない。政府は、消費税廃止や最低賃金引き上げによる消費喚起、高速道路無料化による輸送費負担の軽減などを早急にやるべきである。
反緊縮勢力躍進が地場産業復活の唯一の道
しかし、竹中平蔵氏をはじめとする人材派遣業界への利益供与のために移民政策を、大企業やお金持ちへの税制優遇の代替財源として消費増税を推進する安倍政権では上記のような地場産業を再生する政策転換は期待できないだろう。れいわ新選組をはじめとする消費税廃止や政府補償による最低賃金引き上げ等の積極財政と改正入管法等の見直しなどの反新自由主義的政策を掲げる政党、候補者を今回の参院選で躍進させることが地場産業を守る唯一の道である。