今回は、西日本豪雨から1年ということで、1年前のブログ記事の再掲とさせていただきます。
「堤防整備等のハード対策は財源に限りがあり限界があるので、自助・共助に重点をおくべき」というような主張をする防災の専門家が多くいるが、堤防等の能力を上回る被害を想定し避難行動をすることは正しいとしても、財政問題を理由に国民に自助・共助を押し付けるのは間違った考えだ。
そもそも日本に財政問題は無い
まず第一に本ブログで何度も書いているように、日本国債は全て円建てで、日銀が国債を買い取れば政府債務は実質的に減少するため我が国が財政破綻するリスクは全くないことと、第二に政府債務が増えるデメリットよりも、今回の西日本の豪雨災害の甚大な被害状況からも分かるように必要なハード対策をやらないデメリットのほうがはるかに大きいからだ。
ハード対策が無ければせっかく避難で助かった命が脅かされる
今、被災地ではせっかく避難などの自助・共助で助かった被災者が炎天下の不衛生な環境下で復旧作業などに追われ、熱中症や感染症、呼吸器疾患など命の危険に晒されている。 堤防などのハード対策でこういう被害を防げるのならそれにこしたことはないし、ハード対策で被害を最小化すれば不幸にも被害を受けた地区が出ても、その地区へ集中的に救援の手を差し伸べ被災者の負担を軽減することにもなるのだ。それに予算を投入することは財政規律より重要である。
複合災害に備えハード対策を
また、高知県宿毛市では今回の豪雨で南海トラフ巨大地震などの津波避難に使う避難路が寸断されているそうだ。考えたくないが、この状態で巨大津波が来ればせっかく豪雨で生き残った人々が津波にのまれてしまう恐れがある。
このことからも、地震と豪雨など複合災害を想定し、避難路の土砂災害対策や津波避難タワーの増設などのハード対策の重要性がよく分かる。
高頻度で被害を受ける地域からは人は離れ、一極集中で災害リスクが高まる
自然災害大国である我が国で一部の地域に人口を集中させるとその地域で大きな災害が起こると大きなダメージを受けるため極めて危険だ。今後気候変動が進むなかで堤防整備などの必要なハード対策を怠れば、高頻度で水害などの甚大な被害を受け、その度に復旧・復興に長期間を要するような地域から人口が東京など都市部などに流出し、人口が集中した地域で首都直下地震などの大災害が起こり多くの命が奪われてしまう。 人口を分散化し災害リスク低減するために、ハード対策を進めて各地の災害頻度を可能な限り減らす必要がある。
間違った主張をした専門家は反省せよ
上のリンク先のような主張をした愛媛大学防災情報研究センター副センター長の二神透氏ら、間違った主張をした専門家には公の場で素直に間違えを認め、説明する義務があるのではないだろうか。